2019.10.24

飲食店がワイン通でなくてもワインイベント開催可能って?BYO(ワイン持ち込み)がもたらす新たな出会い

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BYOについてご存知ですか?Bring Your Own (Bottle)の略で、飲食店にワインを持ち込み、お店の料理と一緒に楽しむことを意味しています。
このBYO、東京都内を中心に各主要都市にて、新たな集客手段として広がりを見せています。

しかしながらまだまだ「ワインを店舗に持ち込みする」ことは一般的に認知されていません。

店舗の料理とワインをもっと楽しんでほしい。でも、毎日が忙しすぎてワインをそんなに勉強する余裕がない、飲食業従事者の方にはこんなお悩みもあるかもしれません。
お客様も同じです。ワインに詳しくないお客様は、店鋪でどのワインを選べばいいか迷っているかもしれません。

そんな飲食店さんには、店舗でのワインイベントがおすすめです。ワイン通でないと店鋪でイベントはできない?いえいえ、BYOレストランを検索できる「Winomy(ワイノミ)」というサービスを通じてワインショップやワインインポーター、国内ワイナリーとのコラボイベントができちゃうのです。

実際に「Winomy(ワイノミ)」を活用しメーカーズディナー(ワイナリーとのコラボイベント)を開催した新宿御苑【CLISP】金子さん、同じくWinomyを活用する六本木【colours】シェフ小久保さんにBYOやワインイベントの魅力について語っていただきました。

■顧客の要望を受け、自然の成り行きでBYOを導入

ーーお二人は修業時代からのお付合いだそうですね。

金子 かれこれ十数年になります。僕が20代前半で料理人の派遣で入ったイタリア料理のレストランで、学生だった彼がアルバイトをしていたんです。それからほぼ同じタイミングで社員になり、3年くらい一緒に働きました。でも、こうしてよく会うようになったのはここ数年のことですね。

微笑むCLISP金子さん
【CLISP(クリスプ)】/オーナーシェフ 金子崇
2017年3月に独立。イタリア料理をベースに新鮮な野菜やフルーツをふんだんに使い、自由かつ新しい発想でオリジナル料理を追求。ワインリストは豊富なドリンクメニューの一部という位置づけだが、産地や品種など珍しいセレクトで、他店にはない個性を打ち出し、20代前半から70代までと幅広い客層から支持されている。

小久保 僕が開業準備中のとき連絡をとってからでしたよね。金子さんが 1年先にお店を開いていたのを知り、いろいろ教えてもらおうと思って……。

微笑むcolours小久保さん
【colours(カラーズ)】/料理長 小久保隆彦
東京都内のイタリア料理やフランス料理など数々の名店で修業を積み、2018年4月にレストランを開業。旬の日本の食材を使った繊細で軽やかな印象のイタリア料理のコースを提供する。レストランのワインリストも自らがセレクトし、料理に合わせたペアリングも用意する。

金子 その頃は、うちの店に頻繁に来てたよね(笑)。若い頃に一緒に働いていた時は先輩・後輩の間柄だったけど、今ではお互いシェフ。自分の店を開くと同業者の情報交換がとても大切なので、昔からの知り合いで何でも話せる仲間というのはありがたいですね。

ーーそれぞれのお店ではBYOを導入されています。そのきっかけは?

金子 正直言うと僕自身があまりアルコールを飲めないこともあり、ワインに特別な思い入れはないんです。だから、持ち込みについては何も決めていませんでした。ところがお店を開くと、ある時期から急に「ワインを持ち込みたい」という問合せが何組も入り、そこで初めて他の店はどう対応しているんだろう?と調べ始めました。その流れで「Winomy」のサイトを知り、登録店になったんです。持ち込み料などの条件をきちんと決めたのも、そのときからですね。

手を重ねるCLISP金子さん

小久保 僕もとくにBYOは意識していませんでした。ただし、僕は金子さんと違って(笑)ワイン好きで、開業当初はワインスクールに通っていたんです。それでスクールの知人や先生から何度か持ち込みについて相談され、その都度対応していました。そんな中、金子さんから「Winomyって知ってる?」と教えてもらって。それでうちも、ちょっと試してみようかくらいの感覚で登録店になり、受け入れ態勢を整えました。

■「ワイン持ち込み」をきっかけに集客につなげたい

ーーワイン持ち込み料などの条件は? どのようなお客さまがいらっしゃいますか?

金子 持ち込み料は1本目が1500円、2本目からは1000円です。料理に関してはとくに制約は設けていません。うちは新鮮な野菜やフルーツを使ったアラカルト料理を用意しているので、お好きな料理をお好きなドリンクと一緒に自由に楽しんでいただきたいんです。ワイン持ち込みの場合、新規のご来店ではコースを注文し、次からはアラカルト目的でリピートされる方が多いですね。月に数回定期的に来てくださるお二人連れもいて、毎回ちょっと変わったワインを1本持参し、追加でドリンクをご注文いただくことも多いです。

小久保 金子さんのお店は果実酒やノンアルコールカクテルも豊富だし、ドリンクメニューもバラエティ豊かですよね。ワインリストにはルーマニアやモルドバとか、珍しい産地のものがあって目を引きます。

CLISPの店内と手作り果実酒

金子 自分は飲めないくせに、ワインのセレクトは好きなんですよ。正統派ワインは他のお店で楽しめるから、できるだけ珍しいものを置きたいんです。種類を絞り込んで3000~6000円くらいの手頃な価格帯でね。その点、小久保さんのお店のワインリストは正統派ですよね。持ち込み料はいくらでしたっけ?

小久保 1本2000円で、うちも料理の制約はないですね。ワインリストは正統派というより、僕の好みで選んでいるので偏りがあるんですけど、メインはイタリアのワイン、あとはフランスと日本のものをそろえています。ボトルは3000円台から最高40万円くらいまであり、中心価格帯が6000~1万円台。メニューはコースのみですが、予約の際に要望もうかがい、できる限り対応しています。持ち込みのお客さまは、ワインスクール関係で持ち寄りでスパークリング、白、赤とひと通り用意されるパターンが多いですね。まだ少ないですけど、新規の方はちょっと高級な特別なワインを1、2本持ち込まれるという感じです。

手を組むcolours小久保さん

ーーワインリストが充実されていると、BYOの導入には抵抗があったのでは?

小久保 少しありましたが、そんな細かいことを気にするよりもお客さまが飲みたいものを飲んで楽しんでいただくほうがいいかな、と。それに、お客さまがどんなワインをお持ちされるのか興味があったし、それに合わせてコース料理を考えるのも勉強になって面白いかなと思いました。

金子 そこはお店によって考え方はいろいろですよね。だけど今の時代、どんなお店でもワイン持ち込みをNGにする理由はないんじゃないかな。お客さまにとっては、高価なワインは持ち込みされるほうがお得であるのは確かだし、持ち込みNGにするのは店側の都合ですから。料理よりワインが売りだったり、ペアリングのワインに力を入れている店は別として、「ワイン持ち込みOK」のような来店動機のきっかけになる窓口は、たくさんあったほうがいいですよね。

小久保 そう思います。うちもペアリングはご用意していますけど、別のワインではダメというわけでないですから。やはりまずはご来店いただき、料理を召し上がっていただきたい。ただ、「持ち込みするワインに合わせて料理も考えてほしい」といったリクエストが、意外とないのは残念なんですが。

colours小久保さんの横顔

金子 そこまで要求していいのか迷う部分があるのかもしれませんね。店側もどこまでサービスするべきか戸惑うことはありますし。実際、新規のお客さまから「ワインを持ち込みするのは初めてなんですけど、どうしたらいいですか?」なんて聞かれたこともありますよ。その場合、こちらで抜栓するか、グラスがいくつ必要かなど、相談しながら臨機応変に対応するようにしています。

■メーカーズディナーでワイン好きの新規客が来店

ーーところで、今年6月にはそれぞれのお店でワインイベントを開催されたそうですね。

金子 6月30日に「丹波ワイン」さんをお招きしたメーカーズディナーを開催しました。先ほども言ったとおり、僕自身ワインはあまり飲めないので、ワイン関係のイベントなんて考えたこともなかったんですが、Winomy(ワイノミ)さんからお声がけいただいて、せっかくなので挑戦してみようかな、と。

小久保 ワイナリーさんとは面識があったんですか?

金子 いや、全然(苦笑)。話を聞いたところでは、丹波ワインさんが京料理や野菜料理のようなナチュラル系の食事と合わせることを意識されてワインづくりをされているので、うちの料理が合うのでは、と候補にあげてくれたようです。あらかじめワインを試飲でき、そのうえで料理を考えられるというのも魅力でした。

提言するCLISP金子さん

小久保 わかります。やっぱり料理人としては、ワインを試飲しながら料理を考えるのは楽しいですよね。金子さんのお店は、仕切りがなくて広々している空間だから、イベントは開催しやすそうです。

金子 これまで貸し切りパーティーを受けることは何度かあったので、それと同じと考えれば初めてのイベントでも違和感なく受け入れられました。立食なら最大40名まで可能なのですが、今回は着席スタイルだったので定員20名。このカウンター横の白い壁にプロジェクターでワイナリーの農園の映像を投影したりして、楽しんでいただけたのもよかったです。もっとも、そういった進行や演出は丹波ワインさんやWinomyさんがやってくれたので、僕はほとんど料理に集中していましたけど。

CLISP店内

ーー料理はどのように提供されたのですか?

金子 ワインがスパークリングワインと白、ロゼ、赤などバラエティに富んだ6本だったので、その流れに合わせて冷温前菜3品とパスタ1品、メイン1品、それからデザートを用意しました。料理は僕1人で作っているので一人一皿ずつ提供するのは難しいため、テーブルごとに大皿で取り分けていただくスタイルで。
最後に、もしスパークリングワインが余っていたら、お客さまの目の前でデザートにかけて完成させようと考えて、ラッキーなことにそれが実現できて大正解。予想以上に反響がありましたね。

小久保 締めのデザートで、ワインがらみの演出をするなんて粋ですね。客層はやはりワイン好きの方が多かったんですか?

金子 そうですね。すべて初めてご来店いただく方ばかりで、年齢層は50~60代が多いように見えました。男性の方が少し多かったかな? 当たり前かもしれないけど、料理よりもワインへの熱量が高かったですね(苦笑)。今後、お好みのワインを持ち込んでリピーターになってくれることを期待しています。

CLISP金子さんの横顔

小久保 そういえばお店のワインリストには、丹波ワインさんのワインもありましたね。そのイベントがきっかけだったんですか?

金子 そのとおりです。ちょうどスパークリングワインを探していて、僕が求めていたイメージとぴったりだったので。これもご縁ですよね。

小久保 わかります。僕も6月のワインイベントで気に入った日本酒の酵母を使って製造されたワインが気に入り、その後リストに入れました。

colours小久保さんとCLISP金子さんが向き合い微笑む

■レストランにもメリットが大きいワインイベントの魅力

金子 小久保さんが開催されたワインイベントは、確かワイン専門店とのコラボでしたよね。

小久保 はい。6月22日に「ワインショップソムリエ六本木店」さんがセレクトしたワインとイタリア料理を楽しんでもらうイベントでした。僕も金子さん同様、Winomyさんからお声がけいただいたんです。ワインショップソムリエさんはワインのインポーターもされている専門店。ときどきイベントを開催されているのは知っていましたが、こんなに早くお声がけいただけるなんて思っていませんでしたね。

微笑むcolours小久保さん2

ーーイベント自体はどのように計画をすすめたのですか?

小久保 そんなに難しいことはしませんでしたよ。ソムリエさんと直接お会いして軽く打ち合わせした後、メールで何度かやりとりしてメニュー構成や料理内容を詰めていきました。今回は立食スタイルだったので、小ポーションで品数は多めに、おつまみ感覚で楽しめる前菜6品と冷製スープ、パスタ、それからメインの肉料理、デザートという構成。ワインは、自然派ワイン5種類を含む8種類がセレクトされていて、それぞれ産地や品種、味の特徴などを解説した資料をいただき、それをもとに料理を考えました。メニューが決まるまでは「このワインに合わせて、もう少しスパイシーにできないか」などといったリクエストがあったりして、参考になりましたね。

金子 立食だったんですね。小久保さんの店の場合、どちらかというと着席のイメージが強いけど。個室も使われたんですか?

小久保 個室は荷物置きにして、いつもは14席のテーブルとカウンターのスペースを使って26名のお客さまを迎えました。立食とはいえ、ちょっと窮屈で大丈夫かな?と少し心配だったんですが、当日はワインショップのソムリエさんが2名いらっしゃって万全の態勢でしたね。僕は料理のことだけを考えていればよかったし、ブッフェ形式だったので、普段のフルサービスの営業より楽でした。料理は大皿盛りで、時々盛り付けを整えたりしながら、ソムリエさんとお客さまのやりとりを聞いて、僕自身も学ばせてもらいました。

ワインボトルとハーブ

金子 ワインイベントは主催者がいてくれると開催しやすいですよね。僕の場合も、ワインについてはワイナリーさんにお任せだったし、集客や集金はWinomyさんが担ってくれたから実現できたというのはあります。

小久保 それは僕も同じです。8種類ものワインを用意して、それぞれをわかりやすく説明されるだけでも大変だと思います。そのぶん、お客さまはとても楽しそうでしたけどね。今回イベントに参加したのは30~40代くらいの女性中心で、途中でブラインドテイスティングのゲームが開催されたりして、とても盛り上がっていました。

金子 なんだかおしゃれだなぁ(笑)。

小久保 僕自身も最後に試飲させていただき、楽しめましたよ。イベントに限らず、持ち込みされるワインは勉強になります。店用にワインを仕入れるときはカタログから選ぶこともあるけど、文字ばかりではわかりにくいし、なかなか頭に入ってこない。誰かが好きだとか、おすすめしてくれるワインボトルのラベルを実際に見て、それについて話をされたりするのを聞いたほうが印象に残りますね。

テーブルに手を置くcolours小久保さん

金子 同感です。ワインイベントは、やはり一度に何種類ものワインを実際に味わって楽しめることが大きな魅力ですよね。お客さまにとってはそういった機会は少ないでしょうし、料理も味わえるイベントなら会話も弾みやすいし、ワイン初心者にとっても参加しやすいと思います。もちろん僕らにとっても新たにおいしいワインを発見できるきっかけになるし、専門家の話をじっくり聞けるのも魅力と言えるでしょうね。

ーー本日はありがとうございました。

colours小久保さんとCLISP金子さん

POINT!

・BYOは「食を楽しむ心豊かなシステム」。
・来店動機につながるBYOの導入は、現代のレストランに必要なこと
・ワインイベントは新規のお客さまと未知なるワインとの出会いのきっかけに
・ワインの専門家とのイベント開催は、店側にとっても学べることが多い

>>ワイン持ち込みOKのお店が探せるサイト「Winomy ワイノミ presented by 阪急百貨店」加盟店募集ページはこちら

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■CLISP(クリスプ)
住所:東京都新宿区四谷4-24 滝澤ビル102
電話:03-5925-8010
営業時間:火曜~土曜:17:00~22:30(フードLO)
日・祝  :17:00~21:30(フードLO)
定休日:月曜日、第3火曜日
※月曜が祝日の場合翌火曜が店休

■colours(カラーズ)
住所:東京都六本木7-18-15 六本木718 3F
電話:03-6812-9410
営業時間:平日:18:00~23:30(L.O.22:00)
土曜:12:00~23:30(L.O.22:00)
日曜:12:00~22:30(L.O.21:00)
定休日:月曜日、第1日曜日

提供:阪急阪神百貨店株式会社

(聞き手・文:村山知子、撮影: 刑部友康、編集:菊地由華)