2019.10.15

ボキューズ・ドール2021日本代表選考 『ひらまつ杯 2019』決勝レポート!レストランTOEDA 戸枝忠孝シェフが優勝

Bocuse d’Or(ボキューズ・ドール)は、”現代フランス料理の父”と称されるポール・ボキューズにより創設されたフランス料理コンクール。フランス料理の担い手にとって最も栄誉あるコンクール「美食のワールドカップ」として、シェフがその実力を世界に示す絶好の舞台である。

コンクールはまず各国での国内予選があり、優勝者がアジア・パシフィック、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、特別出場枠でそれぞれ開催される大陸予選を勝ち抜いた24カ国の代表シェフが、2年に一度フランス本選(次回は2021年リヨン・シラ国際外食産業見本市内で開催)に出場する。

本記事では、まずは前篇としてボキューズ・ドール2021 日本代表選考 『ひらまつ杯 2019』決勝審査発表会の模様として、出場した選手と各人の決勝戦料理、表彰式の結果をお伝えし、後日後編として「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」をより深くお伝えする為に、本大会のキーマンであるお三方のインタビューをお届けしたい。

ボキューズ・ドール2021 日本代表選考 『ひらまつ杯 2019』出場者

■ひらまつ杯2019決勝の課題内容とは?

第3次審査の課題は「肉料理の温製 大皿プレート盛り」

2019年10月14日、辻調理師専門学校(阿倍野)で開かれた日本代表選考会。
本大会における第3次実技審査決勝として、1次試験の書類(レシピ)審査、2次試験に残った8名の中から4名が選出され、そして前回大会からのシード選手2名を加えた計6名で日本代表の座をかけ行われた。

第3次審査の課題は「肉料理の温製 大皿プレート盛り」。
課題食材として、「和牛サーロイン(鳥取和牛オレイン55)「牛タン・テール(国産)」「マイクロハーブ」の3つを使用する。

※「鳥取和牛オレイン55」:鳥取和牛の中からオレイン酸を55%以上含む牛肉を「鳥取和牛オレイン55」としてブランド化している。

大皿プレートに12人名分をつけ合わせ3種とともに盛り付けし、ソースは1種類のみ用意することができる。

採点基準は大きく2つ、試食審査とキッチン審査である。
試食審査では、プレゼンテーション20 点、独創性20 点、つけ合わせ20 点、ソース10 点、味付け30 点、合計100点を各審査員が採点。
キッチン審査では、衛生・清潔5点、仕事の進め方5点、食材の扱い5点、食材の無駄のなさ5点 合計20 点が採点される。

■日本代表 最終選考出場シェフとプレゼンテーション料理

日本代表 最終選考出場シェフ6名と各人のプレゼンテーション料理は下記の通り。

・福岡「オテル・グレージュ」兵頭 賢馬シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:兵頭 賢馬シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:兵頭 賢馬シェフ

福岡「オテル・グレージュ」兵頭 賢馬シェフの決勝料理

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

WAGYU en croûte aux MATSUTAKE et légumes racines ,
jus de viande au KABOSU
Sphère de carotte jaune au foie gras ,
marbré de langue de bœuf avec suprême de poulet ,
velouté de chou-fleur á la truffe , crumble de mimolette

3種の部位を使ったオレイン55の秋仕立て、
松茸と根菜のアクサンとカボスの香るジュ
島人参とフォアグラの球体、博多地鶏とオレイン55のマルブレ、
小蕪とカリフラワーのヴルテ、ミモレットのクロッカン添え

 

・京都「京都ホテルオークラ」土谷 真敬シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:土谷 真敬シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:土谷 真敬シェフ

京都「京都ホテルオークラ」土谷 真敬シェフ出場料理

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

Bœufen crôut de sel au poivre blanc sauce piquante
~ミネラル~
鳥取県産オレイン55のファルシ 白胡椒風味の塩釜包み 亜麻仁風味の若紫蘇のフォンダン
柚子胡椒香るソースピカント

 

・東京「レストラン ラ・フィネス」杉本 敬三シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:杉本 敬三シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:杉本 敬三シェフ

東京「ラフィネス」杉本 敬三シェフ決勝料理

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

Reconstituer de tartare de Boeuf Tied et ris au MATSUTAKE,
Cube de queue de boeuf braiser au bourgignon,
tartelette de langue de boeuf fume comme torche au maron ,
Croquette de garniture de campagnade tuile dentelle,
consomme de boeuf legerment lier.

温かい牛肉のタルタルの再構築と松茸ご飯のガトー仕立て。
牛テールのブルゴーニュ風赤ワイン煮込みのキューブ仕立て、
モンブランのように仕立てた牛タンの燻製,
田舎風クリームコロッケとレース仕立てのチュイル、
松茸風味のビーフコンソメのとろみをつけたソース

 

・東京「レストランモノリス」石井 剛シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:石井 剛シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:石井 剛シェフ

東京「レストランモノリス」石井 剛シェフ決勝料理

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

Cote de Boeuf-farcie en champignon des bois/
Pate en croute de langue de Boeuf aux saushou/
Pot-au-feu de queue de Boeuf en flanc avec avec moelle

鳥取オレイン55サーロイン茸をファルスして
軽いスモーク香をまとわせて/
牛舌のパテアンクルート山椒風味/
テールのポトフをモワルとフランに仕立てて

 

・軽井沢「レストラン トエダ」戸枝 忠孝シェフ(前大会第3回ひらまつ杯準優勝、これによるシード権出場)

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:戸枝 忠孝シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:戸枝 忠孝シェフ

軽井沢「レストラン トエダ」戸枝 忠孝シェフ決勝料理

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

Boeuf tottori wagu,
Mosaïque de langue de boeuf et bacon, Souffle Camembert, Saveur d’epices de queue de boeuf et de betterave
Champignon aux epinards farcis

鳥取和牛オレイン55 牛タンとベーコンのモザイク仕立て
カマンベールのスフレ
牛テールとビーツのエピス風味
キノコとほうれん草ファルシ

 

・福岡「リーガロイヤルホテル小倉」米田 武史シェフ(第3回ひらまつ杯3位、これによるシード権出場)

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:米田 武史シェフ

写真左:日本ボキューズ・ドール・アカデミー会長 浜田 統之シェフ、右:米田 武史シェフ

福岡「リーガロイヤルホテル小倉」米田 武史シェフ決勝料理

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

Gâteau de contre-filet de bœuf au algue et au champignons des bois, sauce vin rouge au Yuzu
Tartelette de ragoût de langue avec dôme de chou-fleur Consommé de queue au oignon brûlé et flan de bardane, Cannelloni de radis et de broccoli

鳥取県産和牛オレイン55サーロインのガトー仕立て 茸と青海苔の香り
柚子香る赤ワインソース
山椒香る牛タンの赤ワイン煮込みをタルトレット仕立てに カリフラワーのドーム
焦がし玉葱香る牛テールのコンソメと牛蒡のフラン
鳥取県産大根とブロッコリーのカネロニ

■栄えある『ひらまつ杯 2019』優勝、そしてボキューズ・ドール2021日本代表は、「レストランTOEDA」戸枝 忠孝シェフ!

全ての順位および特別賞は下記の通り。

優勝: 戸枝 忠孝 (レストランTOEDA)
2位: 兵頭 賢馬 (オテル・グレージュ)
3位: 米田 武史 (リーガロイヤルホテル小倉)
4位: 土谷 真敬 (京都ホテルオークラ)
5位: 石井 剛 (レストラン モノリス)
6位: 杉本 敬三 (レストラン ラ・フィネス)

プルミエ鳥取和牛賞: 米田 武史
村上農園賞: 戸枝 忠孝

おめでとうございます!

 

■戸枝 忠孝シェフは、村上農園賞もW受賞

マイクロスプラウトを飾りではなく料理食材とし昇華

戸枝シェフは大会スポンサー、また食材提供をした株式会社村上農園から「村上農園賞」も受賞した。
村上社長のコメントから、戸枝シェフの食材へのアプローチ手法や捉え方などが垣間見ることができた。

写真左:株式会社村上農園 村上社長、右:戸枝 忠孝シェフ

写真左:株式会社村上農園 村上社長、右:戸枝 忠孝シェフ

村上社長:
「戸枝シェフの料理は、春夏秋冬を季節を表現した料理としてプレゼンテーションして頂きました。

私は、特に春を表現した料理が素晴らしいと感じたのですが。それは、マイクロスプラウトは一般的には料理のデザインといいますが、飾り付けといった用途で利用されているように思います。

ただ、戸枝シェフの料理の春をイメージした料理からは土の香りがしまして、それが春をイメージさせることにつながっており、今までにない使い方をして頂いたのではないかと。

食材を提供する身としてとてもうれしく思いました。」

鳥取和牛オレイン55 牛タンとベーコンのモザイク仕立て

料理写真:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN 提供

大会自体は各種評価ポイントの合計点で競うため、戸枝シェフのこれだけがよかったというわけではない。
ただ、戸枝シェフのマイクロスプラウトという小さな小さな食材一つに対して、心遣いが現れていたのは確かだ。一事が万事という言葉もあるように、細部に渡るその心持ちこそが、その他すべての作業にも反映されたのかもしれない。

■ボキューズ・ドール2021 に向けて

戸枝シェフは今後ボキューズ・ドール2021 日本代表として、2020年春に開催されるボキューズ・ドール アジアパシフィック大会2020へ挑戦し、翌年の2021年1月にフランス・リヨンで開催される「第18回ボキューズ・ドール国際料理コンクール」に出場する。

日本代表選考「ひらまつ杯 2019」は、国内のシェフとしのぎを削り代表の座を射止めるという、ある種個人プレーで完結する大会だ。しかし、国際大会ではそれでは絶対に勝てないという。

これからの国際大会に向けては「チーム」としていかに一つになれるかが問われる。
世界では国を上げての総力戦が繰り広げられるのがポール・ボキューズという大会である。

次回、本記事の後編として、長年ボキューズ・ドールJAPANをサポートしてきた、辻調理専門学校校長 辻 芳樹氏、前大会の日本代表「メゾン・ド・タカ 芦屋」高山英紀シェフ2名の独占インタビュー、そして 「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」をより深くご紹介する。 >>後編はこちらから

ボキューズ・ドール2021 日本代表選考 『ひらまつ杯 2019』出場者と審査員

■ボキューズ・ドール詳細についてはこちら

>>ボキューズ・ドール公式HP
>>ボキューズドール公式Facebookページ

取材協力:一般社団法人ボキューズ・ドールJAPAN

(文:市原孝志、写真:岡タカシ、編集:菊地由華)