継続は力なり。230年変わらない味を守り続ける、京都老舗の帝王学。

鳥彌三
浅見 泰正

鳥彌三 内観

■今なお進み続ける、これからの「鳥彌三」

今後の展望はありますか?

浅見氏:
そうですね、「鳥彌三」が続いていけるようにメンテナンスをしつつ、生き残るためにどうするかに対して頭を使わねばと思っています。個人的には、四十代後半で仕事を終わりにして、立ち止まってその後を考えるのもいいかな、と考えています。四十代後半あたりで起業して失敗するパターンって多いんですよね。その流れで社長職に就いて失敗するよりは、身を引いた方が店は残るかもしれません。
自分としても、これまで跡取りとしての決まったポジションを演じさせてもらってきたので、自分の人生を生きるのもいいかも、と考えています。また旅に出たりするかもしれません。

浅見さんには息子さんがいらっしゃいますが、息子さんに店を継がせたいとお考えですか?

浅見氏:
それが、息子は高校生なんですが、ロボットの世界チャンピオンになりまして(笑)。
全然違うことをやっていることですし、夢があるみたいなのでとりあえず見守ろうと思っています。うちだけじゃなく京都の老舗はみんな、「十年くらいなら店閉めてもいいやん」というような余裕があるんです。何百年という歴史のスパンで考えれば、跡継ぎを見つけるまでの十年くらいは店を閉めても問題ないんじゃないかな、と思います。

海外進出は考えてはおられませんか?

浅見氏:
考えてないわけではないんですけど、現実的には難しいです。現地の人を採用した際の勤務管理や仕事効率とか、店員のクオリティなんかの課題もありますし、そもそも今海外に行ける人がいないので。
水炊きは元々中国のものですし、ベースが同じ料理は世界各地にあるので、外国の方が食べる際に抵抗が少ないんですよね。そんな中で、食の安全という点では日本に強みがありますから、その強みを守っていくことは生き残る手段として有効だと思います。

鳥彌三 浅見泰正

■八代目店主が語る、店を長く続けていくために大切なこと

ビジネスの点から、店を続けていくために大切なこととはなんなのでしょうか?

浅見氏:
それはもちろん、粗利を確保することです。飲食店にとって、資金の確保は大切ですから。ただ、店をやるには、自分でためたお金をちゃんと残した状態でやってほしいと思います。家族がいるのに店の失敗と共に全財産を失っては大変ですから。そのために、店が暇な時期の資金繰りなども考えておくべきだと思います。ただ、オープン当初は広告費を惜しまない方がいいので、どんなお客さんにターゲットを絞り、年間でどう広告費を出していくかを考えるのが良いでしょう。
他には、取引先が潰れないように、みんなで助け合えるバランス感覚が大切だと思います。私がそのマインドを学んだのは京都の中央市場です。私の祖父が築いた中央市場は、京都の相場を安定させ、港や市町村にも利益をもたらせるシステムになっています。

それでは、お店を継続していくために個人として大切なことはありますか?

浅見氏:
やっぱり、仕事が好きであることじゃないですかね。好きじゃないとできませんから。あとは何度も言っていますが、同じことを続けることですかね。料理をクリエイトするうえで、自分の味や技術を管理し続けることって、誰もが同じようにできるわけではないんです。同じものを作っても、職人の感性によって盛り付けは変わりますし。また、職人としては成功するにつれ店を大きくしたいという夢があるとは思いますが、目が届く範囲で商売をすることも、長生きの秘訣だと思います。

鳥彌三 浅見泰正

■継続は力なり。定めた出口に向かって努力し続けることが大切

料理職人を目指す若い人に向けてメッセージをお願いします。

浅見氏:
「継続は力なり」ということですね。自分がやっていることが合っているのか分からなかったり、無駄だと思うことをやり続けるって大変なことです。でも、継続してはじめて意見が言えるようになると思います。何かをやってみようと思ったら、入口と出口を決めてやり続けること。出口から出た時にどうするかはその時に考えればいいけれど、出口を見失わずにやり続けるかが大切ですね。途中で誘惑に負けてもいいけれど、それは自己責任です。自分がどうなりたいかを考え、文句を言わずに続けることです。立派な肩書にこだわる必要はありません。技術は後からついてくるので、努力し続けてほしいですね。努力すれば、必ずできるようになりますから。

本日はありがとうございました。

(聞き手:市原 孝志、文:高瀬 真倫、写真:逢坂 憲吾)

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