継続は力なり。230年変わらない味を守り続ける、京都老舗の帝王学。

鳥彌三
浅見 泰正

鳥彌三

■店を支えるスタッフたち。その教育方針とは

この仕事をやっていてよかったと思うことは何でしょうか?

浅見氏:
人を教育することですかね。これから社会でお金を稼いで生きていかなければならない若い子たちに対して、親御さんが言えていないことを”京都の親代わり”として言うという、嫌な役回りをする責任があると思っています。彼らには、お客さんからお金をもらってはじめて仕事になるんだということを教えています。現場に立つとどうしても作業になりやすいので、いかに楽しめるかが大事なんです。
また、普通の会社の社長業とは違って、他のスタッフのコンディションも見つつ、どう声掛けしていくかに気を配っています。今日と明日とで人は変わります。そういう変化に敏感になって、ちゃんと見てあげなくてはいけません。そうしないと、各人のコンディションが料理に出てしまいますから。

スタッフとして働くうえで大切なことは何でしょうか。

浅見氏:
お客さんがお店に描くイメージに応え、わざわざ来てくれるお客さんと共有できる限られた時間を大事にするように、とお店の子たちには言っています。一番大切なのは、自分の気持ちを高めながら平常心でサービスすることです。若い子たちには、そのことを分かったうえで、長く仕事を続けてほしいと思います。

「鳥彌三」では、どんな人が職人として働いてるのですか?

浅見氏:
うちは「夢に向かって修業したい」というような若い職人見習いは取りません。若い子はうちの店以外にも選択肢はいくらでもあります。職人として採用するのは、自分で一度は店を開いたことがあるけれど、畳んでしまったというような方です。そういう人は我慢強く、長く勤めてくれる人が多いんです。

鳥彌三 浅見泰正

■代々変わらない秘伝のスープ。たどり着いた結論は、何も変えないこと

秘伝のスープは創業当時の味を守り続けていると伺いました。スープへのこだわりを教えてください。

浅見氏:
うちのスープは、これまで何代もの人々が変えようと試行錯誤して、これ以上良いものはできないと気付いて受け継がれてきた味だと言えます。以前コラボ商品の話をいただいたとき、うちのスープは完成しているせいで他のものと融合させることができないということを発見しました(笑)。この域まで極められてるので、変える必要は感じませんね。ただ、食材の味を引き出すために、極限までいらないものを引き算していくことは大切だと思います。そうすると、体に優しくて、人間が一番欲しているものになるんです。

鳥彌三

■京都・鴨川から見つめ続ける、時代の流れ

昔と今とで、お客さんに変化はありますか?

浅見氏:
昔のお客さんは飲む・食べる・話し上手と三拍子そろった方が多かったのですが、今では全く逆ですね。同じ二時間の座敷でも、昔は盛り上げようという気概を感じたんですが、今は呼ばれたので来ましたというスタンスの方が多い印象です。今の方が堅実になったとも言えるのかもしれませんが…。いずれにせよ、割烹や料亭を人と人がお会いする場として使う際には、個人としての協調性や人間性が問われるのではないかと思います。

最近だと、京都では外国人観光客のお客さんも増えてるのではないですか?

浅見氏:
そうですね。海外の現地メディアに取り上げられた記事を読んだり、来店した方が書いた旅行ブログで評判を聞いて来られる方が多いです。最近では人気すぎて入場制限がかかったりもします。

いろいろなお客さんと接するうえで、心がけていることは何ですか?

浅見氏:
しんどいことがあったとしても、それを悟らせないように気を付けてます。人相から苦労がにじみ出ている店主の店には行きたくないですから(笑)。
他には、何も知らない状態の方がお客さんは話しやすいと思っています。引き出しが多すぎる人や、引き出しがあっても開かない人と話すのは大変ですから。

鳥彌三 外観

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