Foodion │ 一流シェフ・料理人のプロフェッショナル論。

継続は力なり。230年変わらない味を守り続ける、京都老舗の帝王学。

鳥彌三
浅見 泰正
京都・祇園四条駅から少し歩いたところに、その店はある。天明八年に創業した「鳥彌三(とりやさ)」では、鴨川を望みながら、かの坂本龍馬も愛した水炊きを味わうことができる。ミシュラン一つ星の実力派でありながら、店の建物自体も登録有形文化財に指定されているという京都有数の老舗料亭の八代目・浅見泰正氏に、代々続く老舗を守り、変化する時代の中で生き残っていくための秘訣を伺った。

160322_011

■京都に根差して230年。京都老舗が提供していく価値は、”変わらないこと”

「鳥彌三」はずいぶん長い歴史があるとお伺いしました。

浅見氏:
そうですね。もともとうちの先祖は、関が原の戦いにも参戦した武士だったんです。戦乱が終わり、京都の錦市場で鳥と魚をさばく商いを始めたのが「鳥彌三」のはじまりでした。建物はさらに古く、270年ほどの歴史があり、改修を重ねながら今でも使っております。創業時から水炊き一本なので、他のことはしていません

 

何か違うことをしてみようとは思いませんでしたか?

浅見氏:
入って十年くらいの時に、自分の色を出したいな、と思った時期はあったんですけど、結局それはお客さんに求められてないんですよね。新しいものっていうのは、東京や大阪で食べられますから。お客さんが京都になぜ足を運ぶのかっていうと、昔から変わらないことを求めているからなんです。幼い頃におじいちゃんに連れてきてもらったお客さんが、今度は自分が孫を連れてきて、店が変わっていないことに安心したり、同じ場所で孫が遊んでいるのを見て昔を懐かしんだり。そういう店として残していかなくてはと思いますね。

 

160322_034

■江戸時代から続く「鳥彌三」の歴史の継承者になるということ

「鳥彌三」の店主は世襲制とのことですが、料理の世界に入るのは幼い時から決めていたのですか?

浅見氏:
そうですね。店を継ぐものだと言われて育ってきたので、中学生のころから店にちょこちょこ顔を出して見習い手伝いみたいなことはしていました。やっぱり他にやりたいこともあったし、店を継ぐことには反発もありました。でも、長く続いた店を閉めることは簡単だけれど、店を守るという役目に選ばれた人間なのだから、跡を継いで頑張らなきゃいけないと思いました。ただ、「これからの時代に取り残されないために、学校で学んで、いろんな世界を見てから料理の世界に帰ってこい」というお客様の方針だったので、料理の道に入ったのは大学卒業後です。跡継ぎは中学校を出たらすぐに料理の世界に入るのが普通だったので、それに比べたら遅いですね。

 

学生時代はいかがでしたか?

浅見氏:
やりたいことは学生時代のうちにやっとけ、ただし責任は自分で取れというスタンスだったので、学生時代にアルバイトで頂いたお金で、好きだった海外旅行によく行ってました。主要都市はだいたい回ったと思います。ただ、旅行先でもついつい料理やサービス業の人に注目してました。外国の人が食事に何を求めているのか見たり、一流ホテルのドアマンを観察したり…

 

鳥彌三の代の継承には、なにかメソッドはありますか?

浅見氏:
そうですね、鳥彌三の店主はオーナー兼料理人のような立場なので、若い頃には料理人としてマスターするまで修行をします。また、うちでは代の継承は一代飛ばしなんです。代が近いと親子関係の甘えが出てしまいますからね。なので、僕は父親からでなく祖父からノウハウを学びました。うちの店は家族や親戚の力でやってきたようなところがあるので、人生の先輩である父親や祖父の世代が、どういう風にこれからの時代と店をリンクさせていくかを後代に伝授していくようになっています。

 

お店を継ぐうえで、大切なことは何でしょうか?

浅見氏:
やはり人間性ですかね。店は自分一人で守っていくわけではなく、いろいろなところでいろいろな職人の助けがあってこそやっていけます。京都の職人は、お金を払えるとしても、嫌いだと思ったら力を貸してくれません。職人たちに納得してもらえるような人間性を備えている必要がありますね。

鳥彌三

お問い合わせ
075-351-0555 
アクセス
〒600-8012 京都府京都市下京区西石垣通四条下ル斉藤町136
阪急河原町駅または京阪祇園四条駅から徒歩
祇園四条駅から219m 
営業時間
月~日11:30~22:00(L.O.20:30)
定休日
不定休

New Interview