多様性と豊かな文化に育まれたペルー料理を追求し伝えていきたい

Central(セントラル)
Virgilio Martinez(ビルヒリオ・マルティネス)

Central(セントラル) Virgilio Martinez&スタッフ

Photo By César del Rio

◼競争ではなく協調を。サステナブルなチームを作る

大変な時期を乗り越えられたのは、強いチームのおかげとおっしゃっていましたが、強いチームを作る為にはどうしたら良いのでしょうか?

マルティネス氏:
「セントラル」をオープンして7年になりますが、現在、78人が「セントラル」で働いていて、8人がマテル・イニシアティバに関わっています。

チームは一番大切で、尊敬しなくてはいけないものです。私はシェフで、上に立つ立場ではありますが、現場はとっても水平的に働いていると思います。もちろん、私が指示を出しますが、働いている一人一人が、自分自身の存在が、レストランでのそれぞれの役割の中で、とても重要で特別な存在だと思えるような雰囲気を作ることが大切です。
競争ではなく、皆が協調して仕事ができる雰囲気作りを心がけています。

私はチームをとてもきめ細かく見るように心がけています。最も難しいのは、一人一人と話して相手を理解することです。時間がかかりますが、一度それができると、物事が簡単になるわけではありませんが、チームがサステイナブルな形になるのだと思います。

スタッフを選ぶ際の基準はありますか?

マルティネス氏:
チームに一番必要なのは、お互いの信頼です。私は妻や妹など、自分に近く、その人柄を知っている人と働いています。
ですから、新しく人を採用する際も、知識やテクニックよりも人柄で選びます。好奇心があって感性が豊かであること、正直であること。自然や世界中の文化に対する尊敬の念と、感謝の気持ちを持っている人と働きたいと思っています。

私たちの料理はもちろん、技術的でもありますが、人々は、技術を知りたいのではなく哲学を知りたいと「セントラル」にやってきます。技術は哲学の自然な結果に他なりません。

私にとっての理想的なチームとは、人柄がよく、積極的に協力し、私たちの哲学を共有できる、つまり、競争ではなく、全てを分け合うという感覚を持っている人たちで構成されたチーム、と言えるでしょう。

レストランのマネジメントで大切なことはなんですか?

マルティネス氏:
まずは、利益を生むことは大切です。40人のゲストのために78人が働くというのはもちろんコストが高いですし、経営するのは簡単ではありません。多くのお客様が来てくださっているからこそ、成り立っています。

新しいメニュー作りはどのようにして行っているのですか?

マルティネス氏:
3ヵ月毎に、18皿のコースを作らなくてはいけませんが、とても楽しく、遊び心のある雰囲気で料理を創作しています。厨房の中では、25人が新メニューの創作に関わっています。毎週金曜日に4時間かけて新メニューを作り、だいたい15~16種類を試しています。

まだメニューに載せるべきものでない、というものも全部記録しておき更に進化させることができないかを考えます。

それぞれの皿は1つの地域の標高を表現していて、そのエリアにある食材とつながっています。
その土地の景色を浮かべられなければ、メニューに載ることはありません。それがなければ、その皿には魂がない、と考えるからです。

地域や人々の魂を知る為に、その地域にある全ての感覚を得る為に、その場所に旅に行って、それから作り始めているのです。ですから、マテル・イニシアティバのメンバーは、食材だけでなく、ビデオを撮ったりして、多くの情報を持ち帰ります。それを、25人の厨房の開発チームで共有するのです。

それと同時に、ペルー内で全ての情報を共有しています。リマが美食の街として知られるようになった背景には、すべてのシェフが友達でその間には秘密がないからです。

Central(セントラル) Virgilio Martinez

Photo By Jimena Agois

大変なお金と労力を使って得た情報を、皆に簡単にシェアしてしまって良いのですか?

マルティネス氏:
構いません。共有したとしても、その魂までを理解することはできないと思うからです。

それに、他のシェフが私たちのマテル・イニシアティバの旅に加わりたい、といえば、喜んで迎え入れます。そうしたら、彼らはきっと私たちがやっていることと似たことはできるでしょう。それは全く構いません。世界中からペルーに来てくれた時に、私たちのレストラン以外でも素晴らしい体験をして欲しいと思うからです。

また、シェフと情報を共有し、一緒に旅をすることで、非常に強いシェフ同士の絆が生まれます。レストラン同士が競争するという考えがあるかもしれませんが、食に関しては、競争原理というのはうまく働かないと思っているのです。

競争原理が働かない、というのはどういうことでしょうか?

マルティネス氏:
ヨーロッパや東京に住んでいて、遠いペルーまで食事を目的に行こうとする場合、一軒のレストランだけの為にやってくる食通は少ないでしょう。はるか遠い国まで来てもらうには、少なくとも20の良質なレストランが必要で、その中から選んでもらうべきだと考えています。私たち以外の店、他のレストランでも、ペルーの食を楽しんでほしいと思っているのです。だから、全部のアイデアを共有します。

情報をすべて公開するとなると、料理をコピーされたりすることはないですか?

マルティネス氏:
私たちはそれをむしろ良いこととして捉えています、一種のオマージュのようなものだと考えるからです。

今は写真がインターネットに溢れていて、コピーするのがとても簡単な時代になりました。

確かに、一つ二つのものをコピーすることはできるかもしれません。でも、永遠にコピーし続けることはできません。食べ物は感情を表現するものでもあり、魂と関わっています。それに、それは私たちが毎日行なっている膨大な研究開発の一部を切り取ったに過ぎず、その背景や魂を理解していないからです。そして、私たちがカバーしている範囲はとても広いのです。全ての構成までをコピーすることは不可能でしょう。

それに、私たちは常に進化しています。コピーされたとしてもそれは過去のもので、私たちは過去には拘りません。ですから、例えば他のレストランから、教えて欲しいと言われれば喜んで全ての情報を共有します。

私は、ペルーをもっと強くしたいのです。自分のレストランだけよくなればいいという考えではいけません。世界に何百万人と、異なった食文化を楽しみたいという人たちがいます。もしペルーが強くなれば、この何百万という人たちがペルーを目指してやって来るようになるでしょう。

でも、その中でもナンバーワンになりたいとは思いませんか?

マルティネス氏:
それは、リーダーシップを取ることの結果、必然的な成り行きとして起きることだと思います。最終的には、ペルーのフードシーンの主役になりたいとは思います。すべてのシェフが主役になれるかというと、そうではないでしょう。

一部のシェフが、リーダーシップをとり引っ張って行くことが必要です。しかし、このリーダーシップも知識もシェアしなくてはいけないと思うのです。競争ではなくて、構造を作り上げなくてはいけないと考えているからです。

Central(セントラル) Virgilio Martinez

Central(セントラル)

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+51 1 242 8515
アクセス
Jr. Dos de Mayo 253, Barranco, Lima, Peru
http://www.centralrestaurante.com.pe/
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ランチ / 12:45~15:15
ディナー / 19:45~23:15
定休日
日曜日