料理は幸せなものであるべき。素晴らしいものを作ると、自分自身が嬉しくなり、さらにそれで人を喜ばせることができる

8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)
Umberto Bombana(ウンベルト・ボンバーナ)

トリュフを持つUmberto Bombana 8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)

■多くの店で修業を積んだアメリカ時代。24歳でヘッドシェフに。

その後の一つの転機が、アメリカに渡られたことでしたね。

ウンベルト氏:
「オステリア・デル・ポンテ」で5年近くを過ごした後、1983年にアメリカ・ロサンゼルスのレストラン、「レックス(Rex)」に移りました。シェフ・ド・パルティのポジションで、マウロ・ヴィンセンティ(Mauro Vincenti)というオーナーに誘われたのです。

映画「プリティ・ウーマン」で、ジュリア・ロバーツがエスカルゴを食べたシーンでも登場したレストランで、1920年に建てられたアール・デコの美しい建物、インテリアにはラリックの作品が飾られていました。

オーナーはとても気前がよくて、毎年一回、研修で1〜2ヶ月間色々な場所に行かせてもらいました。研修を通して、イタリアで1980年代に南イタリア料理の父と呼ばれた、ドン・アルフォンソ(Don Alfonso)や、パリのミッシェル・ロスタン(Michel Rostang)など、錚々たる店で経験を積むことができました。

レックスで5年過ごしたのちに、1988年に、ヴィンセンティが新しくオープンする「パッツィア(Pazzia)」というレストランのヘッドシェフとなりました。私はまだ24歳で、まだ若すぎたかもしれませんが、料理だけでなく、全てに置いて責任を持って管理することを学びました。

何かをやりたいと思った時に、目の前に障害があれば、それにただ立ち向かうだけです。大変なこともたくさんありましたが、私は危機というのは、自分が変わるチャンスだと捉えています。

フランス料理を学ばれたことは、ご自身にとってどうでしたか?

ウンベルト氏:
フランス料理はイタリア料理よりも構成がはっきりとしていて、厳しい規律があります。それを経験できたことは、本当に良かったと思っています。もちろん、屈辱的なこともありましたが、私は経験というものを楽しむタイプです。

手にきのこを持つUmberto Bombana 8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)

■香港へ。「トスカーナ(Toscana)」のエグゼクティブシェフからの独立。そして、香港に定着した理由。

その後、香港に移られるのですね。

ウンベルト氏:
はい、1993年のことです。アジア初のリッツ・カールトンホテルが香港にオープンすることになり、イタリアンレストラン「トスカーナ」のエグゼクティブシェフを探していたのです。

初めてのアジアでしたから、言葉が異なったり、文化が違うということはありました。とはいえ、私にとって一番大切な部分は料理です。その料理が人々に受け入れられたので、それほど苦労したという記憶はありません。香港は国際都市ですし、当時既に、「エノテカ・ピンキオーリ(Enoteca Pinchiorri)」があったりして、人々は高級イタリアンに慣れていましたから。

2009年に独立し、自身のレストラン「8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)」をオープン。ずっと香港をベースにしていらっしゃいますが、気に入った理由はなんですか?

ウンベルト氏:
中国料理には、素晴らしいテクニックがあります。調理のバラエティが多いですし、特に、ローストの技術は素晴らしい。元々そういったものに興味がありましたし、これからも学んでいきたいと思っています。

また、世界中の食材が輸入でき、関税がかからないことも魅力です。シェフにとって、とても自由度が高い国で、だからこそこうして長い間ここで仕事ができているのだと思います。

8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)料理

Confit Abalone Carpaccio (慢煮鮑魚薄切)

■新しい料理を生み出すために大切なこと。料理の成り立ちと、素材の理解。

新しい料理はどのように生み出されるのですか?

ウンベルト氏:
もしファッションが好きであれば、季節が巡ってくれば新しい服を選びたくなるでしょう。それと同じで、服を選ぶように、旬の食材がやって来たら、それを表現したくなりますし、異なった表現の方法を見つけたくなります。

若い頃はスキルや考え方を料理で表現したいと思いましたが、今は自然になるべく近づきたいという気持ちだけです。自然の、シンプルな美しさを表現したいのです。

本当にいい食材を見ると、私はいつもとても幸せになって、料理がしたい、という思いが湧き上がってきます。すばらしい皿というのは、スキルがすばらしいものでも、イノベーティブなものでもありません。美しいバランスの味があることです。正しい温度で調理して正しいソースと合わせると、すばらしい旨味が引き出せる。

そのためには、二つのことが重要です。一つは、料理の成り立ちを知ること。ただ子どもの頃から食べていて馴染みがある、というのではなく、どんな風にその料理ができているかを知らなければなりません。例えば、「いかに一つの国がモルタデッラ(ボローニャ風ソーセージ)を発達させたか」というようなことです。その全てのプロセスを学ばないといけないと思っていますし、人類学者にアドバイスをもらいにいくこともあります。

もう一つは、素材の理解です。例えばマグロなら、イカを食べて育ったのか、イワシを食べて育ったのかで、当然味が変わってきます。もちろん、それによって調理方法も変わってきます。その味をいかに引き出すか。そこに面白さを感じていますし、まだまだ勉強しなくてはいけないと思っています。

8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)内観

8 ½ Otto e Mezzo BOMBANA(オット・エ・メッツォ・ボンバーナ)

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アクセス
Shop 202, Landmark Alexandra, 18 Chater Road, Central, Hong Kong.
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営業時間
◾ Lunch 12:00 -14:30
◾ Dinner 18:30 - 22:30
Bar opened from 12:00 noon until late
定休日
Closed on Sundays.