和食の視野を広げるために、あえてフランスで3年修業。逆境を乗り越えた、信念の料理人

京料理 みつや
松村 知典

京料理みつや 松村知典

■「作業」という気持ちでなく全てに「魂」を込めて

店を運営する上で大切にされていることはありますか?

松村氏:
信念を持ち、自分がやるべきことを見失わないことだと思います。過去には首になった店もいくつかあるのですが、どうしても納得いかなくてぶつかってしまうことが度々ありました。その結果、店を辞めることもありましたけれど…それはそれで仕方なかったし、それで良かったのかなと思う部分もあるんです。信念を曲げないのでしんどいことは多いですし、人とバッティングすることもありますけど(笑)。

そして基本は、来てくださったお客様に楽しい思いになってもらいたい、幸せな気持ちで帰って行ってもらいたいということ。料理はそのためのひとつの手段ですが、料理だけでなくサービスも含めて、常に最高のものに持っていけるように努力しています。そのためには五感を鍛えることも大事で、例えば「お客様のグラスが空いた音がしていないか?」…など視覚だけに頼るのでなく、嗅覚や聴覚も研ぎ澄まし、細やかなサービスが出来るように心がけています。

そして仕込みでもなんでも、「作業」という気持ちでなく、全てに「魂」を込めて作りたい。味を追求することはもちろん大切ですが、もっと大事なのは「人間味」があることだと思っています。

京料理みつや 松村知典

料理を志す若い方へ何かアドバイスなどありますか?

松村氏:
仕事をひとつ教えられたら、それを誰かに教えられくらいにまで自分の血肉にして、さらに発展させる気持ちで学んでもらいたいですね。技術は自分だけで止めるのではなく、教えられるくらいにできないといけない。それからやはり視野を広げることはしてほしいです。海外へ行ってみるのもいいし、食べ歩きするだけでも視野はとても広がるはず。

そして本を読むのもいいと思います。北新地で働いていた店が「盛和塾(※)」に入っていたので、京セラの稲盛和夫氏の経営学の本と出会ったのですが、大好きになり空き時間は本ばかり読んでいました。心に残った言葉や自分の考えをまとめたノートはすでに数十冊にもなっています。普段は忘れているのですが、ふっと本の言葉が浮かんでくることがあり、知らず知らずのうちに自分を支えてくれる時があるのです。北新地の店には辛い思い出も多いのですが…(笑)、今思えば辛い時にこそ学ぶことが多かった。

みつやノート
修業時代も含め、松村氏のノートは何十冊にも及ぶ。

フランスや修業時代に学んだこと、本から学んだこと、師匠から学んだことなど…「自分に無いものを学びたい」という気持ちが常にあります。将来的には独立も考えてはいますが、今はただ店を軌道に乗せることだけを考え、目の前のことを一生懸命やり続けたい。
すると次にやるべきことは、自然と見えてくると思っています。

※ 京セラ創業者の稲盛和夫氏が塾長を務める、企業家のための経営を学ぶ場。

(聞き手:齋藤 理、文:池側 恵子、写真:松井 泰憲)

京料理みつや まかない
この日のまなかい。和食によらず、いろいろと造られるという。

京料理みつや 外観

京料理 みつや

お問い合わせ
06-6450-8328
アクセス
〒550-0003 大阪府大阪市西区京町堀1-12-3
四つ橋線肥後橋駅から徒歩5分 駐車場:なし
営業時間
17:00-22:00 
定休日
日曜(祝日は営業)