Foodion │ 一流シェフ・料理人のプロフェッショナル論。

人との繋がりがキャリアを築き、店の土台となる

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本城 昂結稀
パリ、サンジェルマン地区に2012年に自身の店をオープン。2014年2月にはミシュラン一つ星を獲得。日本の大学卒業後、パリの調理学校を経て三つ星「アストランス(Astrance)」で修業、東京の「カンテサンス」の立ち上げに参加し三つ星を得た後再渡仏。マルセイユの三つ星「プティ・ニース(Petit Nice)」などで働いた後スペインの「ムガリッツ(Mugaritz)」やデンマークの「ノーマ(noma)」で修業した。スポンサーやパトロンに頼らず、1人で経営も担う料理人本城さんにお話を伺った。

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■作り手の顔が見えるような料理が好き

フランス料理を志したきっかけは何ですか?神戸ご出身なんですよね。

本城氏:
祖父がフランス料理がすごく好きで、お正月とか家族親戚で集まったときとかもお節を食べるよりもテリーヌ食べる方が好きという人で、行事行事には必ずフレンチのお店を予約していました。

厨房から常にいい香りがするのが子ども心に思い出に残っていて。そのひとときが幸せな空間だったのでいつか僕もこういう仕事に携わりたいなと思っていました。

 

好きなお料理、美味しいと感じる食べ物はどのようなものですか?

本城氏:
最近は年をとったこともあって和食、お寿司が好きです。日本に帰ったらお寿司が食べたいなぁと。けれどフレンチはやっぱり好きで、できるだけいろいろなお店へ食べ歩きに行くようにしています。ガストロノミーに限らずビストロも行きます。幼少期に行っていたのは伝統的なフレンチですが、幅広く行きますね。作り手の顔が見えるような料理が好きで、作り手の人がどういう思いがあってこういう料理を作っているかわかるような…

 

他のシェフとの交流はありますか?

本城氏:
そうですね、ダヴィッド・トゥータン(David Toutain)とはお互いに店に食べに行く友達です。「ガランス(Garance)」のギヨーム(Guillaume)さんとかも。日本人シェフだけでなくいろんなシェフの料理を食べに行ったり意見交換するのが好きです。去年もスウェーデンの「フェーヴィケン(Fäviken)」に行きました。あそこのシェフも「アストランス」出身で、同世代なんです。

フランスも縦社会、徒弟制度があるのでもちろん年配のシェフには敬意を払いますし尊敬しますが、同世代だと腹を割って話せるというか。これからいろいろ交流していこうかなと。オープンして3年なのですが、自分自身、料理も経営もしていて段々視野が狭くなっている部分があると思うので、料理を食べるだけではなくてシェフと交流して意見も聞いたり、ただ食べにきて話すだけではなくて腹を割って話していきたいなと。

 

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■大学を出てフランスの調理学校で免許取得、半年で三つ星アストランスへ

日本で料理の勉強をしようとは思わなかったんですね。

本城氏:
大学を出てからなのでスタートも遅いですし、料理というのは地に根付いた土着の文化なので、まずフランス料理を理解するのに技術や知識だけではなくフランスの文化というものを理解しなきゃいけないなと思いました。ですので、フランス語を勉強しフランスという環境に飛び込みました。

フランスに来て最初1ヶ月2ヶ月語学学校に行って、すぐにフェランディで半年でCAP(調理師免許)を取りました。今は無理なんですが、当時は料理の比率が大きかったんですよ。スタージュ(研修)もしましたし、学校の休み期間もムダにしたくなかったので教授に紹介してもらってビストロなどにも働きに行きました。いろいろなところを見ておかなきゃなと。忙しいところでは「頼むから残ってくれ」と言われたり。いろいろと経験を積ませて貰いました。

 

卒業してすぐにアストランスへ入られたのですか?

本城氏:
そうですね。スタージュ(研修)から始めました。当時は岸田さん(カンテサンス店主)がスーシェフとして働いていて、その前に佐藤さん(パサージュ53店主)も働いていたんですが、みんな研修からのスタートです。

今年三つ星をとった「ゼラニウム(Geranium)」も研修として入ったんですが、最後「働いてくれ」という話をいただけました。十年前に来た料理人たちは皆、そういうハングリーな気持ちで研修から働いていて、僕らの世代からしたらそれが普通だったのですが… 最近はそれが薄まっているような気がします。

この間もうちの店で働きたいという人がいたんですが、本腰入れてこちらでやっていきたいというのであればもちろん僕も応援しますしアドバイスなどもしますが、言葉が話せず準備も十分でなく、漠然とフランスで働きたい、給料も欲しいというのは温度差があるなと感じます。

 

「アストランス」で働くことは日本にいたときから考えていたんですか。

本城氏:
そうです。日本でアストランスを知った時から、新しいことをされるシェフのお店なんだな、いつか働きたいなとは日本にいたときから思っていました。

「ノーマ」で働こうと思ったときには、最初は断られたんですが、コペンハーゲンの別のお店で働いていたときに同僚が「ノーマ」で働いた経験があったということで紹介してもらえることになりました。思いついたらすぐ行動に移すタイプなので、その話を聞いた休憩時間にすぐに「ノーマ」へ行きました。そうしたら偶然シェフに会えて(笑)その場で働かせて欲しいとお願いし、結果として働けることになりました。

最初は上の階の仕込み部隊だったんですが、一週間経ったら「来週からサービス」と言われサービスをしました。朝6時から夜12時過ぎまで働き、次の朝5時には走ってお店に向かうという毎日を過ごしました。苛烈でしたが、刺激的で充実した日々でした。

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91 Rue de Grenelle, 75007 Paris FRANCE
メトロ12番線Rue du Bac, Solférino, 13番線Varenne
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12-13時、20-21時
定休日
日曜、月曜、火曜昼

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