本質を押さえつつイノベーションを。新たなカルチャーの創造を目指して

sio(シオ)
鳥羽 周作

sio 鳥羽 周作

■文脈を大切に、新しいレストラン像をカルチャーにしていく

お店の名前は、どのようにして決めたんですか?

鳥羽氏:
僕が「S」から始まるお店の名前が好きなので、Sから始まる、2~3文字でキャッチ―なものが良かったんです。それで、塩加減に自信があるから「sio」が良いってなって。また、デザイナーの水野さんが、「鳥羽くん結構とがっているから、おもしろさを入れたら良いよ」と言って、「(s)しゅうさく・(i)いつも・(o)おいしい」でsioにしたらと提案されたんです。メディアに出るときはいつも、店名の由来を訊かれたらその2つの話をして、可愛さを出しています。

メディアへのプレゼンテーションまで考えてつけられたんですね。

鳥羽氏:
そうですね。この店は、表面的な物事として考えていることがすごく少なくて、文脈として物事がきちんと成立しているんです。「なぜ?」と訊かれたときに「なんとなく」というのはあまりなくて、きちんと意味を語れるものが多いです。

コースを作るときもストーリーを考えていて、それをお客様に説明されていると伺ったのですが。

鳥羽氏:
お客様に文脈を感じていただくことが重要だと思っています。例えば、すごく冷たいお水を出します。何も考えなければ、ただ冷たいお水が出てきただけですが、「この後すごく辛いお料理が出てくるので、それを食べた後にこの冷たいお水を飲んでください」と言うと、「冷たい水」というものにきちんと文脈ができるじゃないですか。

それを重ねることで、次お店に来たとき、今度は温いお水が出てくれば、「鳥羽さんのお店で温いお水が出てきたということは、何か次の料理に関係性があるんだ」と思ってもらえるようになる。そんな風にコースを設定して、お客様が感じた後に文脈を少しずつ伝えていく感じです。情報を押し付けるのではなく、お客様から進んで体感してもらうことで、より印象に残してもらえればと思います。お客様の心にどう響かせたいかを考えています。

sio 鳥羽 周作

料理単体ではなく、コースやお店の雰囲気全部で、一種のエンターテイメントのように感じてもらいたいということですね。

鳥羽氏:
自分が描くこれからのレストラン像に近づくためにどうアプローチしていくのかという視点でやっています。

これからのレストラン像とは、どういうものを描かれていますか?具体的な目標はありますか?

鳥羽氏:
おいしいのは大前提。今、日本でトップクラスのレストランは、上質なものや上質な空間は当たり前になっています。そこにプラスαが必要だと思いますが、次のシーンにいくのに何が要るのかと考えたとき、僕らはカルチャーを詰め込んでいこうと思ったんです。

どういうことでしょうか。

鳥羽氏:
何年経っても愛されて残っていくのって、やはりカルチャーがないとダメだと思うんです。カルチャーというのは、本質がありつつしっかり文脈がないと根付いていかないものです。僕たちは、レストラン単体というよりも、レストランをプラットフォームにして、外の人たちとのエンゲージメントを高めたコンテンツを作ることで、カルチャーにしていくという広がりを構想しています。

レストラン単体で悪いというわけではありません。レストランとして料理がおいしいか、雰囲気が良いかというだけではなく、僕らはその先を見たいと思っています。現状のシーンでトップに躍り出たいのか、それとも自分たちが新しいシーンをカルチャーとして作りたいのかでは、意味が少し違うと思うんですよね。僕らは今のシーンプラスαの何か、新しいものを「0 → 1」で作りたいんです。

sio 鳥羽 周作

考えていても、具体的にどうしたいのか、プラスαが何なのかまで落とし込めるのは難しいと思います。

鳥羽氏:
僕らはそのために、クリエイターの人たちに喜んでもらえるお店を作ったんです。クリエイターの人たちが来店して、僕たちが持っているものを体感することでおもしろさを感じてもらう。そうすると、何か一緒に仕事をするときに、僕らはもうプレゼンする必要がないんですよ。だからスピード感があるし、そこで共有できているものはエンゲージメントが高いから、仕事をするときに「鳥羽さんはこういう方向だよね」という理解度が高いんですよね。

僕たちは、「料理人×建築家」「料理人×音楽」「料理人×器」など、新しいジャンルの人や物と掛け合わせて、新しいレストランを作る方向に向かっています。日本のトップレベルの人たちのチームを作って、日本最高峰のレストランを作りたい。僕らは3年後を目標に、それを準備しています。

それが、茶室のプロジェクトですね?

鳥羽氏:
はい、現代の茶室作りを考えています。茶室という総合芸術を作るときにはやはり、チームが必要なのです。今は、そのためのチーム集めをしています。

来年、新しいお店をもう1店オープンするのですが、そこは現代の評価基準での評価を取りにいきます。既存の軸できちんと評価を得てから、その上で自分たちが新しいことをやって定置していくことが大事だと思っています。

どのレイヤーでもきちんと実績を残していくということですね。

鳥羽氏:
僕らはメディアに出ている回数が多いので、色物として扱われる可能性も高いんです。「何か新しいことをやっている人」と思われているのは理解しているし、自分たちが今どのように見られているか、実はすごく気にしています。だからこそ、例えば日本一の研師さんに研いでもらっているナイフを使っているのもそのひとつなのですが、他のレストランがあまりやっていないことを、本質のあるものに集約していくことを意識しています。色物発信ばかりしているようで、意外とちゃんとしていると思ってもらえるように。

sio 内観

sio(シオ)

お問い合わせ
03-6804-7607
アクセス
東京都渋谷区上原1-35-3
代々木上原駅
営業時間
ディナー:17:00~23:00(L.O.21:00)
土日祝ランチ:12:00~14:30(L.O.12:30)
定休日
水曜日