「待つ」ことは「前進」に等しい ー ポジティブな辛抱は次のステージへと導いてくれる

Restaurant NAKATANI
中谷 慎祐

Restaurant NAKATANI 中谷慎祐

■エレーヌ・ダローズ氏との出会い。マネージメントもこなし、料理長へ

その後、パリのエレーヌ・ダローズさんの下で9年間働かれたのですよね。どういった経緯で10年間も働かれたのですか。

中谷氏:
はい、フランスには3年くらいで帰るつもりが、エレーヌの店にはなぜか9年間もいてしまいました。僕が入ったころがちょうど二つ星に上がった時期で、毎日がバタバタしていてあっという間に時間が過ぎてしまいました。

料理も2週間に1回全部変えていたんで、土曜日のミーティングでルセット(レシピ)だけを渡されてその次の火曜日からそれを作るなんてこともしょっちゅうありましたから、慌ただしい日々でした。

その後、お店もおちついて自分のポジションも少しずつ上げてくれたので、気がついたら10年経っていました。最後の数年間は料理長として人事マネージメントも任されていました。

人事関係も担当されていたのですね。

中谷氏:
はい、エレーヌの店ではそういったことも含めて多くの経験をさせてもらえたので良かったです。

従業員の管理や、勤務表の作成を始めとして、仕込みなんかは他の従業員が全部やってくれたので、料理の試作もけっこう好きにやらせてもらえました。エレーヌも当時はすごく忙しかったので、面接・採用・メニュー作りなど、厨房の現場は完全に任されていました。

人事を任されていたのに、従業員が急にいなくなってしまったりなんてこともあったので、そういうときは「なんで雇ったのか」と怒られることもありましたね…。

Restaurant NAKATANI 中谷慎祐

■ 日本ではなく、フランスでの独立。シェフの個性に客がつく時代だからこその選択

その後、独立してご自身のお店を持たれたのですよね。もともと独立するつもりだったのですか?

中谷氏:
そうですね、そういう意志はありました。ただ独立してお店を持つというのは気持ちだけでどうにかなる問題ではないので、どこかのホテルの料理長のポジションなども同時に探していました。自分あるいは親族などに資本が無ければ、どうしてもお店を持つというのは難しいことなので…。

ただ、運良く、縁があって一緒にやってみようという方にお会いすることにできた。結果的に独立し、自分はお店を開くことができました。

どういった経緯で協同創業者を見つけられたのでしょうか?

中谷氏:
ある日の夜、パリの知り合いの店で飲んでいたら、ちょうどそこにいらっしゃったお客さんが、パリで簡単なワインバーを開いてみたいとおっしゃっていました。自分はレストランをやってみたいと言うと、その方が賛成してくださって、一緒にやってみようという話になりました。

出資者が3人ほどいた方がよかったので、日本で知り合いの医療関係の方に相談をしてみたら、お力添えをいただけることになりました。

そうして、2名の共同創業者と私とでこのレストランをスタートさせることができました。もちろん、僕の出資金は銀行からですよ(笑)

お店をフランスで開かれたのには何かこだわりがあったのですか?

中谷氏:
特別なこだわりがあったわけではないのですが、なんとなく日本は候補には挙がらなかったですね。すごく恵まれた条件などがあれば話は別だったのですが、日本の景気もあまり良くはなかったですし、自然とフランスでの開店を準備していました。

それに、今では日本にはいろんな国で修業をしてきたいろんなシェフたちがお店を持っているから、フランスで学んだことを今持ち帰ってもあまりそれ自体は大きな魅力にならないかなと思いました。どこの料理を学んできたかというよりは、そのシェフの個性にお客さんがつく時代になってきている。だったらどこでお店を持っても変わりはないかなと考えたんです。

実際にフランスでやられてみてどう思いますか?

中谷氏:
もちろん、大変ではあるんですけれども、それでもエレーヌの下で9年間やっていたという僕の経歴は、フランスでのほうが活きてくると思っています。それを知っているお客さんが来てくれるというのもありますし、何より、フランスでの店舗運営の経験が活かせる。店舗経営のスタイルは、日本とフランスでも大きく違いますからね。

店舗を運営されるうえで、特にどういったことに気をつけていますか?

中谷氏:
従業員との関わり方に特に気を配っています。営業中にどうしてもイラッとすることがあっても、なるべく怒らないようにしていますし、怒るとしてもタイミングを選んでいます。営業中に怒ってしまったらそこで終わってしまいますし、流れも悪くなってしまうので。

料理はすべて1人でされているのですよね?

中谷氏:
はい、今は料理は僕が1人でやっています。最初は三つ星レストランとかでの経験もあるフランス人の女の子が1人いたんですけれど、彼氏ができたといってブラジルに行ってしまいました(笑)フランスらしい、できごとでもあります(笑)

今後もし採用をされるとしたら、どういった人と一緒に働きたいですか?

中谷氏:
こちらが言ったことをきちんとこなせる人ですね。指示したことを2,3回間違えるくらいだったら誰にでもあるし普通です。でも、それが10回や20回までなってくると、それはもう僕と合わないんだろうし、変に僕にも負担がかかってしまって隣に置いている意味がなくなります。

だから、スキルが高い人をというよりも、僕と相性が良い人と働きたいと思っています。どんなに料理の技術があっても、僕との相性が良くなければ指示したことをしっかりとこなしてくれないので。

今は1人でやっていますが、もちろん僕と相性の良い真面目な人がいればいつでも採用したいですよ!

Restaurant NAKATANI 外観

Restaurant NAKATANI

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+33 (0)1 47 34 94 14
アクセス
27 rue Pierre Leroux 75007 PARIS FRANCE
営業時間
12:30-14:00
19:30-21:00
定休日
日曜、月曜