本当にお客様に喜んでもらえる店を目指し、日本人らしい料理を極める

RESTAURANT NANPEIDAI(レストラン ナンペイダイ)
高橋 七洋

RESTAURANT NANPEIDAI(レストラン ナンペイダイ)内観

■レストランは人と場所の縁。日本料理の巨匠との出会い

「シノワ」では20年料理長を務められたんですよね?20年の料理長というのは、これはもうお店の象徴のようなものです。そこから、あえてお店を変わろうと思われたのはなぜだったのですか?

高橋氏:
実はずっと、レストランで働きたいという思いはあったんです。シノワは僕の中であくまで「レストラン」ではなく「ワインバー」で、料理よりもワインが主役という意識でした。

だから、自分の作る料理が、「レストラン」の中で作るとどうなっていくのか、挑戦してみたくて。ワインではなく料理を主軸にした「レストラン」という舞台で、自分の料理で勝負してみたかったんです。

RESTAURANT NANPEIDAI(レストラン ナンペイダイ)高橋七洋&石川秀樹

そこで石川さんに出会われたんですね?きっかけは何だったのですか?(ここで、石川さん登場)

石川氏:
実は、私が客としてシノワに通っていたんですよ。シノワの料理は何を食べても美味しかった。それもデザートまでね。普段、私はデザートには興味なくて食べないんですけど、シノワでは食べていました。それでシェフはどんな人か、ずっと気になっていたんですけど、全然出てきてくれなくて。

そうなんですね!お店では、「ミシュラン三つ星の、あの石川さんが来ている!」という話にはなっていなかったのですか?

高橋氏:
なっていましたよ!それで僕も普段は厨房から出ないんですけど、挨拶しに行ったんです。ところが、最初の日は、もうタクシーに乗られた後で間に合わなくて。そんなすれ違いが何度かあって、結局4回目くらいにお会いすることができました。

そこからおつきあいが始まったんですね!そして、石川さんが「洋食のレストランを創りたい」と思ったときに、高橋さんに白羽の矢が立った、ということでしょうか。

石川氏:
いえ、意図した戦略ではなく、縁なんです。私のお店はいつもそうなんですけど、「店を出したい」から始まるのではなく、物件と人ありき。

ここも、元は私がお店をやるという話ではなく、素敵な一軒家があるけれどお店か何かできるか、見に来てほしいと、相談を受けたのがきっかけでした。

実際に見てみて、純粋に良い場所だなと思いました。確かに住宅街の中ですが、山奥なわけでもないし。そもそも実力のあるお店にとって、場所なんて関係ない。ファンになれば遠くても食べに来てくれる。ましてやここは渋谷から歩いて8分ですし、全く問題ないと感じました。

ただ、雰囲気からして「和」ではないな、それこそ「志摩観光ホテル」のような系統だなと。だから、フレンチではなく「洋食」で誰かやらないかなと考えたんです。

実は私は、志摩観光ホテルのレストラン「ラ・メール ザ クラシック」が大好きなんです。常々、あそこまでのスケール感でないにしろ、あんな雰囲気で、他のどこにもない、独自の料理を出すお店が東京にも欲しいなと思っていました。

それで、「シノワ」にいた高橋シェフに誰か紹介してもらおうと相談に行ったら、「僕、今年を次のステップにと思っていたんです。」みたいなことを聞きまして。驚きましたが、それならこれも縁かなと、直感しました。

高橋氏:
僕も「シノワ」で20年経ち、ちょうど区切りにしたいと思っていたところだったんです。そんなタイミングで、石川さんから「洋食で誰かいない?」と言われたものですから。これはと思い、遠回しに「僕、洋食作れるんですけど」ってアピールしました(笑)。

すごく自然な流れだったのですね。

石川氏:
だから戦略も何もなくて。良い場所と私が一番好きな料理を作ってくれるシェフが揃った、ただそれだけなんですよ。

料理の世界では、お店というのは場所と人が揃えば成り立つ。特に「この人の料理だったら」というトップがいれば、なおさらです。逆に、物件の場所や建物が良くても、人がいない場合は難しい。人と場所は、両方が縁なのです。

すごいですね。全てがうまく引き合ったというか。20年勤めたところを辞めるといっても、新しい自分を見つけるための挑戦の一歩だったということですね。

RESTAURANT NANPEIDAI(レストラン ナンペイダイ)高橋七洋 厨房

■日本で育まれた「洋食」への愛。洋食と和食は遠くないもの

それにしても、洋食という全く異なるカテゴリーのお店をプロデュースすることに、石川さんは「遠さ」のようなものは感じられていなかったのでしょうか?

石川氏:
全然遠くないですよ。

そもそも洋食は、日本でもう100年くらい根付いているものですよね。私だって日常で何が食べたいかと聞かれたら、オムライスやナポリタンが食べたいと答えると思います。逆に和食でも、ホワイトソースを使ったりバター焼きにしたりしますしね。なので、決して遠いものではありません。

洋食は日本で受け入れられ、長い歴史の中で日本人の嗜好に合わせて変化していったわけですから、日本料理の一つの形とも言えると考えています。

そうした考え方に、高橋シェフも共感されたのですか?

高橋氏:
石川さんに最初にお会いしたとき正直に言いましたが、僕は正統派のフレンチではなく、日本の「洋食」が好きなんです。自分が最初に入った「小川軒」の料理が、優しくて温かかったこともあり、そうした日本的な料理である「洋食」こそが、自分のめざすべき道なんです。

石川氏:
その考え方は私も同じです。日本で100年かけて育まれてきた、日本人の感性に合う洋食をやりたいと思ったんですよね。日本人ですから。そこが、この「ナンペイダイ」の土台となりました。

高橋氏:
もちろん、テクニックとしてはフレンチやイタリアンの科学的な技法も、ひとつのやり方として取り入れています。質を一定に保つ技術も必要ですからね。ただ、料理にはその先に、毎日毎日同じことを積み重ねて行かなければわからない何かがあるんです。僕は職人として、その目に見えない、数字では表せないものを自分の中に取り入れて、表現していければと思っています。

お二人の「洋食」への思い入れを強く感じるお話ですね。これからの日本の「洋食」の未来を創っていこう、という意思さえも感じますが、具体的にそうしたことを考えていたりするのでしょうか?

石川氏:
そんな大それたことは考えてないですよ。料理の未来は自然の流れで変わっていくもので、誰かが意図的にやることではないですから。

和食のお店もそれぞれ料理人によって考えは違いますし、内容も様々です。その時代の料理がどうだったかというのは、50年後や100年後、過去を振り返ったときに初めて答えが出ること。この瞬間は、それぞれの想いの中でやっていれば良いんです。

「未来」といった先の話ではなく、新しい付加価値をどうすれば世の中に提示できるのか。お客様が「ありそうでなかったね」と喜んでくれれば、それが本望。それだけの話です。それは「ナンペイダイ」に限らず、「石かわグループ」のどのお店も大切にしているコンセプトです。

もちろん、私は洋食の未来に対してネガティブなことは考えていないですよ。ただ、今私たちの料理を、とにかく楽しんでもらえるようにと、それだけを考えています。

RESTAURANT NANPEIDAI(レストラン ナンペイダイ)外観

RESTAURANT NANPEIDAI(レストラン ナンペイダイ)

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