すべての職業は好きこそ物の上手なれ。世界にのめり込んだものが勝ち

リーガロイヤルホテル「レストラン シャンボール」
岡 昌治

リーガロイヤルホテル「レストラン シャンボール」 岡昌治

■大阪に戻って気付いた、同期との力の差。

———それが今やトップソムリエとしてこの場所に。

岡氏:
1年半後大阪に戻ると、他の同期とレベルの差がついていました。大阪にはこんな立派な施設でたくさん勉強できる環境があるのに、みんな勉強してないんです。サーバーの使い方も遅ければ、お酒の知識なんてウェイターの誰も持ってなかった。

どうやら後で知ったことには、大阪の同期たちは先輩たちに夜な夜な誘われてしまったようで。今は業界が厳しいのでそんなことはありませんが、僕の場合は先輩方が一刻も早く戦力になれるよう、周囲の甘い誘惑からガードしてくれていたんです。縁に恵まれたことを強く実感しましたね。

そうして約束の2年も経ち、新館もオープン。いよいよコックへの道が見えてくるわけですね。

岡氏:
ところがね、2年経つと…サービスがおもしろいんですよ。お客さまと面と向かってお話できるでしょう。行動範囲が広いんです。一方コックは非常に厳しい徒弟制で、それは許容できても、サービスの領域が狭い。東京でサービスの仕事が侮れないものだと分かってきていたので、「もう1年ウェイターをさせてください」と会社に申し出ました。

そうして出した結論は、コックではなく、「ヘッドウェイター」を目指すということでした。きっかけはささいなことで、ウェイターをしていたコーヒーハウスで、フロア全体を見渡してウェイターを統括する黒服姿のヘッドウェイターが恰好良くて(笑)。

給料から何とか捻出して語学学校に通い、料理や飲料の知識も少しずつ勉強して。それで、毎年約600名のコックとウェイター、ウェイトレスを対象にした料理や飲料の知識を問う試験では、トップ10に入るようになっていきました。

ただ、そこで浮き彫りになったのが、飲料…ワインの知識が乏しいこと。それはヘッドウェイターを目指す上では致命的でした。何しろ私が初めて飲んだワインは、東京の寮生活で仲間が買ってきた国産のワインで、「渋い」「酸っぱい」「苦い」と3拍子揃ったまずい赤ワイン。こんなの飲めるかと思っていた。

ワインへの印象は良くなかったんですね。

岡氏:
それがその後、「レストラン シャンボール」に配属されてウェイターを務め、本物のワインに出会います。当時このホテルにソムリエという職種はありませんでしたし、世間的にも認知の低い職業でしたが、いわゆる今でいうソムリエにあたる先輩が、本でしか見たことのないようなワインも色々と試飲させてくださって。ありがたいことに僕にはそれを消化できる強い内臓がありましたので(笑)、甘口から辛口、白ワインから赤ワインへ、段階を踏みながらワインの奥深さに魅了されていきました。

そんな折、異動などの関係でソムリエが一人になると聞き、自らソムリエに志願したんです。今の実力でヘッドウェイターになっても、三流のヘッドウェイターになる。料理の知識もまだ足りない。ワインも1年や2年では覚えられない。3年ほど勉強したら、それなりに深い知識がつくのではないか、という狙いがありました。

リーガロイヤルホテル「レストラン シャンボール」 岡昌治

■ヘッドウェイターを目指し始めたワインの勉強に、魅了され…。

あくまでヘッドウェイターというゴールがあって、ソムリエというのは、そのための一つの道だったんですね。

岡氏:
結果的に6年間ほどウェイターの仕事をして、ソムリエの世界に飛び込んだのが24歳の時。しかも先輩が、私の転向直前に3ヶ月間フランスへ研修に出たものですから、いきなりソムリエを一人で任される事態になりました。

その時に僕の運命の出会いが起こります。ホテルの企画で「フランス文化フェア」が催され、招聘されていたのがパリのソムリエ協会会長だったジルベール・ルトール氏でした。本場のソムリエを目の当たりにして、衝撃を受けました。

言葉も分からないまま催事中ずっとついて回って必死で吸収しました。とにかく赴きが全然違う。僕らは赤ワインを出す時に、栓を抜いてそのまま出していたんですけど、籠に入れたままスマートにお出しして、ソムリエナイフでキャップシールをカットして、コルクをポンと抜いて、必ず一度キュッと試飲する。これが本物なんだと。

佇まいから演出の仕方まで、プロの技を目にしたわけですね。

岡氏:
その後、フランスから帰国した先輩が開口一番「お前、フランス語を勉強しとけ」と。そこから2年間、必死でフランス語を勉強しました。その後10ヶ月ほど、私もフランスに行かせてもらったんです。それがソムリエの道へとどっぷりとハマっていった最大の転機でしょうね。

最初はワインメーカーを転々としました。「瓶に詰まっているものは日本でも見れる。瓶に詰まるまでを見てきなさい。ワインが生まれるフランスの日常や文化を勉強してきなさい」というのが社長の意向でした。

南フランス・ローヌ地方に入って、ブルゴーニュのボーヌからアルザス、シャンパーニュ…そして総仕上げとして、最後の3ヶ月は頼み込んでパリのプラザホテルに入らせてもらいました。何しろそこのシェフソムリエが、ジルベール・ルトール氏だったのです。

後半の方には厨房のフランス語も聞き取れるようになっていましたし、この料理にはこのワインがいいとか自分なりの研究もできていて、お酒や料理の知識も勉強したことが形になってきていました。ある日、ジルベール氏に、「お前、ここに今から行って来い」と言われ、パリの由緒あるレストラン「マキシム」で3日ほど働かせてもらったことも(笑)。ジルベール氏の背中を見て大いに学ばせてもらいました。

リーガロイヤルホテル「レストラン シャンボール」 内観

リーガロイヤルホテル「レストラン シャンボール」

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