目指すのは究極のおもてなしを叶える「一日一組」の店

まき村
牧村 彰夫

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■お客様を喜ばせたいという気持ちを一番大切に

「まき村」は2015年、2016年と「ミシュランガイド東京」で連続して三つ星に輝いています。今後どんなお店や味を目指していきたいとお考えですか?

牧村氏:
これまで注力してきたのは、とにかくお客様に、美味しいと思ってもらい、楽しんでもらい、喜んでもらうことでした。これからは、さらにそこからいい意味でお客様をどこまで「驚かせる」ことができるのか、もっと突き詰めていきたいと考えています。その「驚き」も、フォアグラなど仏料理の食材を使うことは自分にとっては「邪道」。あくまでも日本料理の正当な狭い枠内で、お客様を驚かせたいなと思っていますが…これがなかなか難しいのです。

一番差が出るのは、食材とも言えますが、でもそれだけだと値段の高い食材を使うだけでいいということになりますよね。そうではなく、組み合わせや味の組み立て方にも知恵を絞って…こんなの初めて!と思ってもらえるような料理を作りたいでのす。これまでずっと料理人としてやってきましたが、まだ会心の出来と呼べるような料理は出せていません。日々ちょっとはありますが、持続してそれが生み出し続けられないとダメだと思っています。

長年、料理の世界で技を磨いてこられたと思いますが、一番大切にされていることはなんですか?

牧村氏:
料理の世界でやっていくには、「お客様を喜ばせたい」という気持ちが根底にあることが大前提。むしろこの気持ちさえあれば、やっていけると思います。不器用でも、お客さんを喜ばせるために今働いているのだと意識できれば、行動も変わってくる。同じことをやっていても、意識の持ち方が違えば、数年後にはまったく違う場所にいることになるでしょう。

「仕事だから料理をやっています」という気持ちしかないのであれば、もう別の仕事をやっていいと思います。夜中まで働いて、家に帰ってバタンと寝て、また朝から仕込みをして。お客さんの「美味しかった!」「また来るね!」の一言を喜びに感じられないと、いくら修業だとしてもこんな辛い仕事は続かない。だからこそ、お客様のことを心底考えらえる人は伸びます。

牧村彰夫 まき村

■料理に真剣に向き合い、一皿たりとも妥協しない

「一日一組」だけの究極の店を最終的には目指したいとおっしゃっていましたが、どんな世界を目指しているのか、今後の夢について教えてください。

牧村氏:
「食べて美味いものを出す」ただそれだけのことを私は真剣にやっています。当たり前のことのように思うかもしれませんが、一品一品、すべて自分が美味しいと思えるものを妥協せずに出していくこと。まあいいや、は絶対に許されません。雇われシェフでは、原価のことも考えなければならないし、妥協が生まれることもあるかもしれませんが、私はオーナーシェフとして、納得の料理にするためにとことんこだわり、やりきりたいと思っています。

例えば、いくら見た目が豪華で古典的な八寸でも、熱いものと冷たいものとぬるいものとを一度にお出ししている場合、果たしてそれがベストなのか、考えてみてほしいと思います。ひとつひとつの品を、一番おいしい瞬間に別々のタイミングでお出ししてもいいと思うのです。技を尽くし、心を砕いていくためにも、わたしの店では、月替わりのメニューでおまかせのコースのみにさせていただいています。

革新的な料理をやる才能も、お店を拡大していくために人を使いこなすセンスも持ち合わせていないと自認していますので、私は一件のお店を必死にやっていくことしかできないと思っています。今は14席の店ですが、ゆくゆくはカウンター6席のみ、そして最終的には一日一組のお店にしていきたいです。一番いい瞬間をお客様に持っていくのですから、創り手の神経を細かく通していくためにも、そのくらいの規模感ではないといけません。これからも少しずつ、でも確実に、進化していきたいと思っています。

(聞き手:齋藤理、文:池水美都、写真:刑部友康)

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