大事なのは、どれだけ料理の探求に人生をつぎ込むか

中国菜 火ノ鳥
井上 清彦

中国菜 火ノ鳥 井上清彦

■お客さまの居心地の良さを守るため、予約の取り方のルールあり。

お客さまに対して大事にしていることや、共有している想いはありますか。

井上氏:
他のお客さまに迷惑がかかってしまうような方は、次から予約をとらないようにしています。スマホで動画をみたり…飲食店のピーク時に他の店の予約を目の前でしていたり…「今、どこのお店も忙しい時間帯じゃないですか?」と注意を促しても、気にせず電話をかける。お連れの方もたしなめるどころか、煽るようなことをしていたり…。そういう常識のない行為をされる方は、予約の電話は二度と取りません。

確かにそうすることで、常連客の居心地の良さが守られていきますもんね。

井上氏:
特にかしこまったお店でもないし、ドレスコードがあるとかそういうことではないんですが最低限のルールを共有できる方に楽しんでいただきたいですね。

他に、予約上のルールはありますか?

井上氏:
いろいろありますが、うちは“紹介は受けない”ようにしています。

うちのお店は、毎月1日に予約を受け付けていますが、だいたいその日のうちにひと月分の予約が満席になります。今、優先して予約をとっているのは、昔からの常連さんと、新規では自分で電話を3回かけてくれた方です。その方たちを差し置いて、紹介でポンとご来店されたら申し訳ないですからね。

あとは、誰かに連れてきてもらって同席しただけの方の予約も取りません。いくらオープン当初からそこそこに席が埋まっていたとはいえ、やはり店を支えてくれたのは昔からの常連さんたちですので、一番大事にしたいと思っています。

商売としては、新規のお客さまの方が客単価は高くなるものです。しかし、利益だけを優先するのは違うということですね。

井上氏:
実は両親もうちの奥さんもお店に行きたいと言っていますが、それも断っています。ですのでお客さんに混じってうちの奥さんも、1日に予約の電話をかけています(笑)。それを伝えると、そのルールに納得してくださるお客さまも多いです。

奥さんまで!徹底していますね。目の前のお客さまに真摯に向き合っておられるのがよく伝わってきます。料理研究のため、中国にも定期的に行かれているそうですね?

井上氏:
必ず年に2回行っています。1~2週間ほど滞在し、1日2軒ほどをまわります。中国清代の宮廷料理を受け継いだ北京本店の「厲家菜」や、官僚貴族親しんだ料理として知られる譚家菜の代表格「北京飯店譚家菜」など、北京料理のルーツを知れるお店が中心です。その他、イスラム教を信仰するウイグル族の民族料理・新疆菜や、山東菜など、各地方の伝統料理も勉強するようにしています。

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研究への投資がすごいですね。

井上氏:
そうですね、売上があがっているにも関わらず経費で…なので、税理士さんに怒られるぐらい一般の飲食店に比べて研究費・経費が異常だと思います。先日も2週間ほど中国に行きましたが、お店を閉めているだけでマイナス200万円ですし、滞在中に使った経費を合わせたらトータルで300万円ぐらいかかっています。

それでもどれだけ勉強しても、まだまだ学ぶことは山ほどあると感じます。もっとよく知りたいですし、知って欲しいです。調理師学校も、広東料理や四川料理は教えても北京料理はほったらかしです。日本人には北京って人気がないのか、ガイドブックもないですし…。店を調べたくても、なかなか調べられないのが現状です。

井上さんの店を運営する姿勢は、単にお金を稼ぐというだけではなく…なんというのか…

井上氏:
もう完全に趣味です。とことん追求するのが好きなのかもしれませんね。先日も、「満願全席」を完全復元したドキュメンタリーDVD全15巻、料理書のセット一式を30万円ぐらいで購入して、何とか時間をつくって勉強しているところです。

北京料理は、中国でも文献がだんだんなくなってきているので…もっとルーツを深く調べ上げて、北京料理としてきっちり形にし、後世に残していくのが目標です。

(聞き手:市原 孝志、文:田中 智子、写真:松井 泰憲)

中国菜 火ノ鳥 カウンター

中国菜 火ノ鳥 外観

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