Foodion │ 一流シェフ・料理人のプロフェッショナル論。

誰よりも働き、誰よりも学ぶ。パリ・名門レストランでシェフパティシエを務める、日本人女性の挑戦。

Taillevent
木下 貴美子
花の都・パリにおいて、1946年にオープンしてからというもの、30年以上にわたってミシュランの星を獲得し続ける二つ星レストラン・タイユヴァン。そんな格式高い一流フレンチレストランでシェフパティシエを担うのが、木下貴美子氏である。木下氏は5人のチームを統括し、月10数種類のデザートを創作する。週末は日本食材のPRイベントにパティスリーを考案するなど、休暇も週末もパティシエの道の探求を続けてきた。熱心な仕事ぶりで周りの信頼を得てきている木下氏だが、その姿勢はあくまで謙虚。職人としての道を歩むこと16年、木下氏に話を聞いた。

■パティシエに進んだきっかけは、母に作ったガトーショコラ

パティシエを志したきっかけはなんですか?

木下氏:
元々、ちっちゃいときから甘いものは好きだったんですよ。それで、小学校くらいになったときから、お母さんにレシピ本を買ってもらって、よく家で1人でお菓子を作るようになったんです。和菓子も洋菓子もよく作っていました。ただ、うちは田舎やったからお母さんは洋菓子は全く作らへんし、近くにケーキ屋さんもなかったんですけどね。

直接のきっかけは、小学生のときお母さんが病気で入院したことでした。その時、自分でガトーショコラを作って病院に持って行ったんです。すっごい喜んでくれて、それが嬉しくて。

それで、高校卒業後、調理師の資格をとるために兵庫県西宮の専門学校の2年制コースに入りました。

 

料理は男の世界というイメージがあるのですが、ご両親に反対されませんでしたか?

木下氏:
特に反対はされませんでしたが、お母さんには「好きなことを仕事にするのはいいけど、仕事じゃないから好きでいられるよね」って言われたことはありますね。まぁそれでも、やっぱり料理が好きだから結局はこの道に進みましたけど。勉強が嫌いやったから、「センター試験なんて受けへんよ!」って思ってましたし(笑)

 

_tag9973_r

■渡仏を意識し始めた、日本での修行時代

最初はパティスリーではなくレストランで働いたそうですが、どんな仕事をされていたのですか?

木下氏:
学校を出て最初に就職したレストランではサービスから始めて、次に洗い場とデザート、その後前菜、そしてキュイソンを担当しました。そこには1年半いました。次に就職した店で2年半。朝8時から休憩が途中30分くらいで夜23時半くらいまで。週1休みですね。バカンスも有給休暇ももちろんなく、お盆もなくて休みはお正月くらい。

そのあとはシェフの紹介を受けて「ラ・ロシェル大阪」に移って、そこで初めてパティシエとして働きました。24才のときです。シェフパティシエと私の2人しかいなかったんですけど。

 

フランスを意識するようになったのはいつですか?

木下氏:
2軒目のシェフが2、3ヶ月フランスにいたという人で、「ラ・ロシェル」にもフランスに半年おったことがあるという人がいて、そういう人から話を聞いていたので、その頃からですね。

フランス料理やってるのに、フランスに行ったことがないというのはおかしいなと思って、行ってみたいなと。実際行ったのはそれから3年後の26才の時ですけどね。

当時はワーホリ用のビザを取るのが難しかったので、紹介会社を使って勤め先を決めて、研修ビザを取りました。ボルドーの一つ星、「ル・パヴィヨン・デ・ブルバール」というところです。スーシェフが日本人だったので、毎年2人日本から受け入れると決めているところだったんですよ。パティスリーで働くという話だったのに、行ったら人手不足だったのでガルドマンジェ(前菜)をしました。

研修ビザが切れた後、 全くフランス語を喋れなかったから、とりあえず語学学校に行こうと思って、学生ビザでフランスに戻り、パリへ行きました。

パリを目指したのは、もちろんちゃんとフランス語を話せないとダメだと思ったのもありますが、地方都市のお菓子のクオリティに満足しなかったというのもあります。

 

フランスに初めて行ったのは?

木下氏:
21才のときにイタリアとフランスを旅行したのが最初ですね。パリを訪れた際に青木貞治のガトーを食べて感動したのを覚えています。コンクールで賞をとったガトーだったんですが、まだ当時は日本にお店が出ていなくて。「こんなのがあるんだ!」と思いました。他には、シュクレカカオとか大手じゃない町のケーキ屋さんを調べて行きました。

 

21才でもしっかり食べ歩きしていたんですね。

木下氏:
他に趣味ないですからね。食べるの好きやし。普通のカフェの鴨のコンフィとかにも感動したりして。

Taillevent

お問い合わせ
+33 1 44 95 15 01
アクセス
15 rue Lamennais, 75008 Paris
メトロ1番線George 5
営業時間
昼12:15-14:00、夜19:15-22:00
定休日
土曜、日曜

New Interview