便利でない場所にこそ、心豊かに生きるヒントがある

villa aida(ヴィラ アイーダ)
小林 寛司

■お菓子作りが好きだった幼少期、料理のおもしろさに魅了された

まずは、小林シェフが料理人になるまでの歩みをお聞きかせください。どんな幼少時代だったのですか?

小林氏:
私は出身が和歌山で、生まれ育ったのもちょうど今の店「ヴィラ アイーダ」の近くです。小学生の頃は、学校帰りにあぜ道でカエルを捕まえて遊んでいましたね。

中学生に入ると少年野球を始めましたが、同時に、お菓子作りにもハマっていました。母がパンや洋菓子を作るのが好きで、たまにキッチンを使って本を見ながらクッキーやマフィンを焼いていました。上手にできないと悔しくて、夢中で作り直していた記憶があります。あとは、庭の木を切ったり、家の壁を塗ったり…料理に限らず、何かものをつくることが大好きだったんだと思います。

料理人をめざそうとハッキリ自覚されたのはいつ頃ですか?

小林氏:
もともと料理人になるとはあまり意識していなくて、漠然と将来は銀行員かなぁと考えていました。ただ、高校生でアルバイトをはじめた時に、ファミリーレストランやケーキにパン屋と、いつも飲食店ばかりを選んでいる自分がいたんです。ホール業務はまるで向いてなくてキッチンメインでしたが、どんどんうまくなるのが嬉しくて、自然と「料理の道に進みたい」と思うようになり、調理師専門学校へ進学しました。

卒業後、最初に働くお店はどのような基準で選ばれたのでしょう?

小林氏:
イタリアンに決めたのは、フィーリングでした。私たちの時代はちょうどティラミスブームでイタリアンも盛り上がり始めた頃。もともと「創造する」ことが好きだったので、色彩豊かでクリエイティビティな世界観に心惹かれたのではないでしょうか。

その上で、将来は独立して自分の店を持ちたいと考えていたので、ホテルや多店舗展開しているような大規模な店ではなく、個人店を中心に探しました。その方が、一通りの業務をマスターできて、経営的な観点も学べると考えたからです。

そうして、大阪・堺のイタリアンレストランに決めたわけですね。1店舗目での修業時代、いかがでしたか?

小林氏:
庖丁さばきやフライパン振りはアルバイト時代の経験もあり、技術面ではそこまで大きな苦労はありませんでした。ただ、あいさつが苦手だったので、生活態度的な部分ではよく怒られていました。チームワークだったり段取りだったり、社会人としての基礎を叩き込んでもらえた現場だったと思います。

シェフは職人気質で要求も高い方だったので、私もしょっちゅう怒られて目に涙を溜めていたものです。そんな時は、「それは見込みがあるということ。期待されているから厳しくしてくれるんだ」と慰めてくれる先輩がいて、厳しい時期を乗り越えられました。

■21歳でイタリアへ、さまざまな地方の食材や郷土料理を知る

次のステップは?

小林氏:
その店では2年ほど修業しました。ピッツァやパスタを出すオーソドックスなイタリアンで、火口には絶対にシェフが立つというスタンス。ボンゴレやミートソースを作る時も、私たちが任されるのは下準備まで。すると1年半も経てば、だいたい覚えてしまえるわけです。“このままずっと長くいても成長はできない”と考え、シェフに「他の店に行かせて欲しい」と相談しました。するとシェフからは、「他店に行くぐらいなら、イタリアに行きなさい」とアドバイスをもらったのです。

そうして、そこから店を辞めるまでの半年間を使って、イタリアにいるシェフと顔をつないでくれ、「この人に頼りなさい」というお膳立てまでしてくださいました。

シェフは小林さんのことを、とても買ってくださっていたんですね。実際に行ってみていかがでしたか?

小林氏:
語学学校に通っていた最初の1ヶ月間は、旅行気分でしたね。そして、いざ紹介してもらった店で働き始めると3ヶ月目でホームシックに(笑)。何しろその店は、ベネチアからさらに2時間電車で北上して、駅を降りてからバスで1時間かかるような山奥の店。住み込みでしたが、言葉もまだ分からない、誰も知り合いがいない、電話はあるけど借りられない、公衆電話までは歩いて10~15分かかる…。とにかく寂しかったです。

でもイタリアには、片道の資金だけでやってきて、お金を貯められるまでは帰らない覚悟で日本を発ったので、帰りたくても帰れない。その時は辛かったです。

まだ、当時は21歳ですから、不安も大きかったでしょうね。その後もいくつかの店で修業を?

小林氏:
イタリアでは、最終的に計8店舗で学ばせてもらいました。シェフの紹介で半年~1年で次の店に移動させてもらい、色んな地方の料理を見て回りました。最初のほうこそシェフに顔をつないでもらいましたが、仕事に慣れると休日に食べ歩きできる余裕も出てきて、気になる店を見つけたら、直接交渉して働かせてもらっていました。

そうして1年も経つと、生活リズムも、イタリア人のおおらかな気質も分かって、言葉も話せるようになり、すごく楽しくなってきましたね。

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