料理のジャンルに拘らず、自分の料理と融合させ昇華させる

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城)
張 成(ザン チェン)

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城) 

北京に戻り、変わりつつある中国のガストロミー社会を模索する毎日

どのようにして「TRB」で働くことになったのですか?

張氏:
北京に戻ってきたとき、私の子どもはまだとても幼かったので、一緒に過ごす時間を持てるよう、もっと自由の利く仕事を選ぼうと考えていました。

もともと「TRB」の評判は聞いていたのですが、昔の仲間の紹介を得て、「TRB」で働くことができたのです。

西と東、両方の地で高級レストランを経験し、鍵となる違いは何ですか?

張氏:
中国では高級レストランというのはもはや目新しくはありません。食べに来るお客様も高級レストランで提供される食事に慣れてきています。

単なる外食なのか、仕事関係なのかプライベートなのか、何か特別な日なのか、、、人々は、素敵で静かでお祝い事にぴったりな場所として、レストランの良い雰囲気を求めます。

私自身もそうですが、いまの若者世代は特に、レストランに求めていることというのは、ただ単に食べ物を食べる場所ではなく、良い雰囲気の中で記憶に残る時間を過ごす場所として捉えています。

そして食材についても違います。西洋では、より食材の縛りが多いように思います。北京ではあまりありません。例えば、アレルギー食材や特定の材料についてのリストがあったりするというのは、アジアではあまり見かけませんでした。

上海と北京はよく比較されます。料理の視点から見るとどうですか?

張氏:
私は、この上海と北京の高級レストランの動向をしばらく追ってきましたが、この二つの地域が持つ料理の基盤がまず違います。歴史的に上海はより昔から西洋の食材の影響を受けてきました。それに対して北京はなかなか影響を受けてきませんでした。

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城)テーブルセット

中国レストラン業界の未来を見据え技術を磨き続ける

あなたの親世代は、今あなたのやっていることに理解を示していますか?

張氏:
(笑)いいえ!彼らは、美しい食べ物だと思うでしょうし、人々がそれに喜んでお金を使うことも理解しています。しかし、特に中国では、世代間差というのはとても大きいです。私の親世代は、私たちがやっていることを見もしませんね。彼らはもっと質素なものを好むので、家では私もシンプルな料理をしてあげます。私の両親はまだ「TRB」に来たこともありません。

その世代間差とシェフとしての評価の違いは、あなたにとって苦労するものではないですか?

張氏:
そうでもありません。最も大変なことは個人的なことではなく、もっと全体の構造的なところにあります。例えば日本では、このような高級レストランがもっと社会に定着しています。中国の若いシェフたちは、更に技術を磨くことに時間をかけて学ばなければいけませんし、海外での経験も必要です。世界レベルに到達すること、それこそが今の中国のこの業界が向き合っている闘いなのです。私はその力があると信じています。

あなたは何からインスピレーションを得るのですか?

張氏:
私は、地のものや海外の素材に関わらず、様々な食材を試してみることが好きです。国内で採れる食材でもまだまだ使われていないものは沢山あります。例えば、海に面している広東地方では、乾燥させたイガイ(貝の一種)と牡蠣からひらめきをもらいました。北京では、三元里に繰り出し、買い物をするのが好きです。(三元里は北京の三元橋地区にある卸売市場です。)

旅行に行くときはいつでも、その土地の市場や食料品店に行き、私の料理に役立つインスピレーションをもらいます。実際の暮らしを体験することは何よりも刺激になるのです。私が何か刺激が欲しくなったら、アジアの中でも繰り出して行く場所はまだまだ山ほどあります。シンガポール、タイ、インドネシアにも行きました。

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城) 内観

料理のジャンルに拘らない「融合的」なレストランへの夢

あなたが手本とする人物は誰ですか?

張氏:
私の人生の中で、その時々で手本としてきた人は違いますが、人生の、そしてプロとしての師匠は、私の兄です。彼は今まで沢山のアドバイスをくれました。

彼は今、深圳にあるIT企業で働いています。全く異なる職種ですが、彼の豊かな人生経験から多くのことを教えてくれます。旧正月の時は実家に帰って、兄と貴重な家族時間を共にします。その時、私が料理を作って、家族はそれを手伝います。

家での料理もすべてあなたが作るんですか?

張氏:
そうです。仕事に行く前には、子どものために朝食を作ります。洋食でも中華でもとても簡単なものを作ります。私の子はすでに料理に興味があるみたいなんですよ。彼にも味付けをしてもらいます。まだたったの3才ですよ!

他のシェフから刺激をもらうこともありますか?「Chef’s Table」などのテレビ番組を見たりすることはありますか?

張氏:
はい!あの番組とても好きですよ!私のキッチンで過ごしてきた人生を思い起こさせるようです。そして、出演しているシェフたちを見ていると、もっと一生懸命取り組まなければと気を引き締められる思いです。多くのシェフは自分の店を持つことを夢見ています。もし私がやるなら、色んなものを融合させたレストランがいいです。「西洋レストラン」などと決めてしまうと、材料に制限がかかりすぎますからね。

将来の夢を教えて頂けますか。

張氏:
私の夢は自分のレストランをオープンすることです。それがいつなのか、まだ教えられませんね。

自分の形を見つけるまで学び続ける

新たにこの業界に入ってくる若いシェフにアドバイスをお願いします。

張氏:
大事なことは学び続けることです。最近の若い中国人シェフの料理への情熱と興味はゆったりしているように思います。昔は、生き抜くために料理をしている人が多かったものです。同じ材料にどれだけ情熱を注ぐか。努力を惜しんではいけません。

細部に渡って研究しなければいけませんし、学ぶことに情熱を注いでください。身近な食材のことも、そうでないものも両方学び、世界各国や中国国内各地の違いを学ぶことで、自分の形を見つけるのです。自分の安全地帯から外に出て、たくさん見て、視野を広げることも必要です。今は学び働ける多くの機会があるはずです。

皆にとってたくさんの機会があるのですから、そこでどれだけの努力を積むことが出来るかにかかっています。他者から認めてもらうために一生懸命打ち込んでください。恵まれた機会を無駄にすることなく、自分自身の成長のために頑張って欲しいと思います。

(聞き手/文:Hannah Leung、写真:Don Chen & Restaurant)

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城) 内観

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城) 内観 窓から北京紫禁城を望める

TRB Forbidden City(テンプルレストラン北京紫禁城)

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