よい料理人になるには、よい指導者のもとで質の高い修業をすること。そして、たくさん学び、たくさん味見すること

Restaurant Le Gabriel, La Réserve Paris(レストラン・ラ・レゼルヴ)
Jérôme Banctel(ジェローム・バンクテル)

Jérôme Banctel Restaurant Le Gabriel, La Réserve Paris(レストラン・ラ・レゼルヴ)

■現状に満足せず、常に喜びをもって料理を提供できてこそのプロフェッショナル

プロフェッショナルの仕事とはどのようなものですか。

バンクテル氏:
決して満足しないこと。常により良い姿を求めること。食材を大切にすること。

フランス料理のクラシックを大切にすること。材料に応じた的確な味付けをすること。的確な火入れをすること。

より上を目指しやり直しを続けていくこと。今夜でも明日でも、今よりもっといいものができないか模索すること。必ずより先の姿があるはずです。

そして自信をもって人に差し出すこと。良いものを作れないのであれば出しません。ただするのではなく、ちゃんとするということが大事です。すること自体には誰にでもできることです。何をどのように盛り付け、どのような色彩にするのか試行錯誤し、喜びをもって料理を差し出すことです。これがプロフェッショナルの仕事です。

そして、新しいものをスタッフにもたくさん与え、情熱をもって仕事を続けていくことこそが大切なのです。私はこの職業への情熱を伝えていきたい。

スタッフに求めることは何ですか。

バンクテル氏:
私は怒鳴りませんが、良い仕事をすることを求めます。私とスーシェフは常にキッチンにいるので、確認することがあったらすぐに対応できるようにしているので、少しでも何か迷いがあれば聞いてほしいですね。

私は朝8時にはキッチンにいますし、皆は深夜12時に帰りますが私は1時までいます。オープン当初から同じリズムで仕事し続けているので、オープンして2年しか経っていませんが、10年経っている感じがします。

バンクテル氏はいつも熱心に仕事をされているんですね。

バンクテル氏:
そうですね。私は一生懸命働いてきましたし、バカンスもとりませんでした。旅をするというよりも、キッチンで実践を積みましたね。

8月にレストランが休みの期間は、「アラン・パッサール(Alain Passard)」のところや、「グラン・ヴェフール(Grand Vefour)」で無賃で研修をしていました。いろいろなものを見て、もっともっと成長していきたかったからです。

私は自分の職業が大好きですし、ひたむきに働くのも好きです。私は自分の人生を全てかけてこの仕事をしてきました。私は自分の時間を全て料理に使いました。頂上を目指したいのです。

Jérôme Banctel Restaurant Le Gabriel, La Réserve Paris(レストラン・ラ・レゼルヴ)

■料理に対して情熱を燃やし続ける。次なる夢は三つ星獲得

今のフランス料理界についてどのようなことに関心がありますか。

バンクテル氏:
世の中には素晴らしいシェフがたくさんたくさんいます。フランス料理をする素晴らしい日本人料理人の波もきています。海外で修業を積んだフランス人料理人の波もあります。

素晴らしいレストランが数え切れない程あり、競争は激化しています。これまで、ここの地区には「ブリストル(Le Bristol)」「ローラン」「ルドワイヤン(Ledoyen)」しかありませんでした。
今では「クラランス(Le Clarence)」「ジャン=フランソワ・ピエージュ(Jean-Francois Piège)」「ティエリーマルクス(Thierry Marx)」もあります。

若い料理人も次々と店をオープンさせていて、7区の「トミー・アンド・コー(Tomy and Co)」、「ケイ(Restaurant Kei)」も「アリアンス(Alliance)」もとてもいい料理を作ります。

競争は増し、スタイルも多様になりました。そして皆がとてもいい料理人なのです。学ぶべきものがたくさんあります。

さらに、「食べたい」と思わせるため、インスタグラムやフェイスブックなどネット上で紹介していかなければならない時代です。私は自分の料理を見せるのが好きです。

先程「ここで働きたい」と言いに来た日本人料理人は、今夜は椅子に座ってキッチンの様子を観察します。まずは私たちのしていることを見てもらうことからです。 見てから働きたいと思ってもらいたいのです。星付きだから就職したい、というのは望んでいません。私は何も隠しません。どのように作るかも見せます。私はオープンにしたいのです。

料理以外で関心があることや趣味はありますか。

バンクテル氏:
私には家族がいますが、家族で遊びに行くときにも市場に食材を見に行ったり、他のレストランに食べにいったりします。誰かに会ったり話したりする時も料理抜きというのは難しいです。料理が大好きですから。スペインやブルターニュに旅行に行くときも食材を探すことが目的です。

知らなかったものを見つけていくことが好きです。新しい食材を試してみたり、情報収集したり。料理以外に情熱を燃やすことは難しいですね。

夢は何ですか。

バンクテル氏:
三つ星です。
オープンしてから最初の1年は休む余裕はありませんでしたが、オープンして2年が経ち、サービスも含めいいチームができました。体制が整った今、もっと先まで行かなければなりません。できるところまでこの挑戦を突き進め、 2018と2019年には、私は「最高」を手に入れたい。もっといい仕事をして、もっと上を目指すつもりです。

ラ・レゼルヴの「Restaurant Le Gabriel」が高い評価を広く得て、グラン・レストランになることを望んでいます。オーナーが私のことを信頼してくれているので、私はこの店を、「ジョルジュ・サンク」や「ブリストル」や「プラザアテネ」のように大きな名声を得られるような店にしたいのです。部屋もバーも「Restaurant Le Gabriel」も、訪れた人が拍手喝采するような場所にしたい。

まだグラン・レストランに至るまでのステップが残っています。最後のステップが一番難しいかもしれません。三つ星はとてつもないものです。準備は整っていて、必要なものは何かわかっています。私たちにはできます。

今45才ですが、50才には私は舞台を変えます。その頃には今の朝8時から深夜1時まで働く体力はありません。まだ何をするかは考えていませんが、違うことをします。

私はキャリアの最後に「すべてのことをやりきった」と思いたいのです。

(聞き手・文:安發明子、写真:Hiroki TAGMA)

Jérôme Banctel Restaurant Le Gabriel, La Réserve Paris(レストラン・ラ・レゼルヴ)

Restaurant Le Gabriel, La Réserve Paris(レストラン・ラ・レゼルヴ)外観

Restaurant Le Gabriel, La Réserve Paris(レストラン・ラ・レゼルヴ)

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