京料理に求められるのは、冒険心と次世代への技術継承

祇園 さゝ木
佐々木 浩

祇園ささ木

■老舗料亭の料理人との交流から、互いに刺激を受ける

京都ではやはり、料理人の礼儀に関しても厳しいのでしょうか。

佐々木氏:
そうですね、例えば「瓢亭」の高橋君とか「木乃婦」の高橋君とかはみんな年下だけど、僕は50歳になるまで、ずっとさん付けでしゃべってました。そういう京都に対する礼儀は自分で決めてやってきましたね。

そういう何代も続く老舗店の倅と付き合うと、「佐々木さんて自由でいいですねぇ。僕はうちの店の伝統料理をなくすわけにはいかないんですよ」って言われるんですよ。「でもお前は、楊枝一本から買ったことないやろう」という感じで、お互いスタートラインが全然違うので、あっちは僕ら創業者の人間としゃべるとパワーをもらえると言ってくれるし、僕は僕で彼らと話すのが面白いですね。

それぞれ一流だから通じ合うものがあるんでしょうね。佐々木さんはホームページでもいろんなジャンルのシェフと対談をされていますが、どのような思いで始められたのですか?

佐々木氏:
普段仲がいい相手でも、対談という形にするとお互い丁寧な言葉で話すし、発想が違うので刺激を受けますね。「こういう考えもあるんかぁ」と、とても勉強になります。それでお客様が見てくれてメールやLINEでメッセージをくれることもありますし、喜んでくれてるんだなと思います。実は、門上さんに「やってみたら?」と言われて始めたので、誰と対談するかは自分で決めてアポも取るんですが、原稿は門上さんの事務所でまとめてもらっています。

祇園ささ木 佐々木浩

■京料理にこれから望むものと、パリ出店→星獲得の野望

ご自身、そして京料理に対する今後の夢はいかがでしょうか?

佐々木氏:
繰り返しになるかもしれないけど、京料理というのは完全な創作料理じゃダメで、これまで培われてきたものを踏まえて、オリジナリティを出してこの時代に合わせて枠を広げてほしい。それで、それを次世代にバトンタッチしていってもらいたいと思っています。

僕自身は、今ついてきてくれている若い子に成功してもらいたいなと思います。独立できる子もいるけど、できない子も、みんな花はつけてもらいたい。そのために、さっき言ったような組織作りをしていきたいです。それができたら、最後はうちの嫁さんと、お好み焼き屋をするんです。嫁さんにはかなり迷惑もかけたから、「今日は店を休んで、ドライブ行こうか」とか、そういう生活がしたいです。

それから、パリにも行きたい。パリで店を出して、星が欲しいんですよね。

どうしてパリなんですか?

佐々木氏:
パリは、京都に似てるんですよね。実は去年もマンダリンオリエンタル「シュール・ムジュール」のティエリー・マルクスとコラボしたりしていて、現地に4回行きました。17年連続で行ってるけど、3回目に行ったときに、“京都と同じでよそもんを受けつけへんとこや”って肌で感じたんです。パリのマンションには門があって、京都のちょっとした家には塀があるんですよね。そして、パリは食の都で、フレンチも京料理も伝統があって。それなのに、パリにはまともな日本料理の店が少ないから、京都のちゃんとした文化を伝えるべきだと思います。

シンガポールとか中国とか、お金出すから店だしてくれってオファーはいっぱいあるし、ニューヨークも行ったけど、やっぱりパリじゃないとと思ってしまう。儲ける気は全くなくて、パリの歴史に対抗していきたいですね。あっちにはツレもいっぱいいて応援してくれるけど、行かせる人間がいないから、「祇園さゝ木」を閉めて僕が行こうかと思うくらいですよ。

(聞き手:斎藤 理、文:宮崎 泰代、写真:逢坂 憲吾)

祇園ささ木 外観

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