京料理に求められるのは、冒険心と次世代への技術継承

祇園 さゝ木
佐々木 浩

祇園ささ木

■多彩な料理の源は“借金”と”対話”

それは佐々木さんの腕とお人柄ですね。「ささ木」のお料理というのは、どこから生まれるんでしょうか?

佐々木氏:
どこから、というと、身も蓋もないけど「借金」ですね。やっぱり借金を返すためにはお客さんに受けなければならない。来てくれたお客さんには絶対満足してもらわなくてはいけない。それも普通の満足ではなく「ここ来たら間違いないわ!」みたいな満足感。

こっちは死にものぐるいですわ。借金あったらなんでもできますよ、お客さんが喜ぶんだったら、僕の好物の軟骨でも出してしまおうかと思いますもん(笑)

好物といえば、僕はフグのとうとう身(肉皮)が好きなんですが、それを“焼くとテっちゃんみたいやな”とお客さんに話すと、「おもろいな」と、どんどん話題になるんですよ。料理の源泉というか、そんなふうにお客さんと対峙していく中で生まれて、人気になっていった料理もありますね。

料理のほかに、大事にしていることは?

佐々木氏:
遊ぶことですね。遊びは中途半端にやってはいけない。遊びこそ、お金をかけてトコトンやるべきなんですよ。

例えば、私自身もこの前、ホテルニューオータニで、ハイヒールモモコさん、ばんばひろふみさんといった有名人をはじめ、お客様470人を招いて、私自身が矢沢永吉さんの歌を歌いまくるライブを開いたりもしました。実は、矢沢永吉さんの大ファンなんです。いつか食べに来ていただきたいですね。

その時は衣装などにもトコトンこだわって、全力で遊びました。ほら、こんなアルバムを作ったりしてね。1000万円以上お金がかかったので、嫁さんに怒られましたけど(笑)。

こういうのをやるときは、全力でやらないといけない。

これは文字通り、「佐々木劇場」ですね!遊びとはいえ、そうした中で、お客さまとの間の取り方が本業に活かされる、というのもあるかもしれませんね。

 

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■若い子には、暴れて暴れて暴れて、料理も暴れさせて、有名になって欲しい。

今の京都の料理人たちの姿勢について、どうお考えですか?

佐々木氏:
僕が少し気になるのは、京都でも大阪でも、10人入るか入らないかみたいな店が「満席や満席や」って言われて満足してるお店が増えていること。それでなんで店を大きくしないか聞くと、「これ以上は器を買えません」とか言う。魯山人の器というのはわかるけど、どうせ形あるものは壊れるんだし、儲けて買えばいいじゃないかと思いますね。

「10人前後の店で満足するな、いったん大きくせぇ」というわけです。昔は”いつかはクラウンに”という言葉もありましたが、上がっていかなきゃいけないんです。大きくしないと、若い子も育てていけない。料理に関しても、「一遍通りの京料理出してるだけでどうすんねん、もっと暴れろや!」と思ってます。とことん暴れて、50代とかになったら、店を小さくして、昔の京料理に戻ったらいいじゃないですか。

もちろん、彼らには彼らの考え方がある。それはそれでいいのかもしれない。ただ、若い子を背負った以上は、自分の持ってる技術を教えてあげなければならない。それが「伝承」であったり「京料理人としての伝え方」じゃないかと思います。そうじゃないと、京都ってこれから衰退しますよ。

「京料理は変わるべきではない」という料理人もいますが、佐々木さんはどうお考えですか?

佐々木氏:
温故知新って言いますけど、やっぱり時代は変化してますからね。

例えば僕も、かぶら蒸しを変化させていく、というのは無理でした。変化させるのは簡単ではない。それはそれでいいと思う。でも、鴨饅頭、銀あんかけなんて、どうなんかと。あんなんで酒を飲めるのかと。旅館で、50人前出しても20人分ぐらい残されるようなものです。

ああいう料理はやめてしまって、違う部分で、京都らしい、ちゃんとした料理を作って欲しい。自分で作って、京都料理の枠を自分の時代に5cmでも広げる。そうなって欲しいんですよね。

京料理も、時代に合わせた変化が必要ということですね。

佐々木氏:
こないだ「菊乃井」の村田さんから京料理について、「1980年代は千花の時代やった、1990年代は俺の時代やった、2000年に入ってお前の時代や。でも大体10年で終わりやのに、お前長すぎるぞ」と言われたんですよ。というのは、あえて言うと、僕の後に話題性のある若い奴が出てこないんですよね。

だから僕はみんなにいつも言い続けてるんです。もっと暴れて暴れて暴れて、料理も暴れさせて、有名になって欲しいって。

佐々木さんがおっしゃる“暴れる”というのは、“チャレンジ”とか“冒険心”ということでしょうか?やっぱり、ご自分のお弟子さんにも、そういった精神を求めておられますか?

佐々木氏:
そう、冒険心。

もちろん、店の若い子にもすごく求めてます。だから、その子らが作るまかないのおかずから、「これ、おもしろいな」と夜のメニューに発展させることもありますし。今うちの煮方をしてる料理長も、RED U-35(35歳までの料理コンテスト)でベスト8までいった実力があって、発想力がすごくいいので期待してるんですよ。

そういう人が、若いのを集めて、人を育てていけば良い。そうしないと、京料理が衰退してしまう。

祇園ささ木 外観

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