18世紀より続く偉大なレストランを受け継ぐ意志 ー ギィ・マルタンが語る夢と愛とリスペクト

Le Grand Véfour
ギィ・マルタン(Guy Martin)

■ オーナーシェフになっても何も変わらない

2011年からこの「夢のレストラン」のオーナーになられたのですよね?

ギィ・マルタン氏:
はい。オーナーシェフになってから、もう7年目です。

通常のシェフであることと、オーナーシェフであることに何か違いはありますか?

ギィ・マルタン氏:
もちろんそれは人によると思いますが、私の場合、とくに何も変わってはいません。このレストランのオーナーになる前も、私はこの店を自分の店のように運営していました。

ただ、違いがあるとしたら、現実問題として、今は私がこのレストランの責任者だということです。コラボレーションをしている他の企業に対しても私が責任者として接しますし、このレストランを美しく保たせるのも私の責任です。

オーナーになってから一番大変だったことは何ですか?

ギィ・マルタン氏:
一番大変だったことですか。そうですね…。

実のところ、あまりありません。私にとっての最悪の事態は、数々の偉人が訪れたこの歴史的レストランで食中毒が発生することです。それだけはあってはならない。だから、食中毒という最悪の事態以外は些細なことであり、大きな困難にはならないですね。

それに私は登山をよくするので、死と隣合わせになることもあります。それに比べればたいした問題ではない、とも言えます。

■ フランス料理の強さは、国と国民が一体となってそれを主張することにある

ところで、日本には頻繁に行かれるのですか?

ギィ・マルタン氏:
よく行きます。去年の渡日でちょうど100回目でした。

100回目ですか!

ギィ・マルタン氏:
100回目です。初めて行ったのはもう35年も前の話で、現在ではたくさんの大切な友人が日本にいます。

日本の料理に関してはどう思われますか?

ギィ・マルタン氏:
とても面白い。素晴らしいものがたくさんある。ただ、「料理文化」自体は、本質的にフランスのそれとは異なります。

フランス料理の最大の特徴は、常にクリエーションが求められていることです。もちろん守り続けられている伝統もありますが、フランス料理はいつでもどこでも流動的に新しく創造され続けます。

それに対して、日本の料理は常に「守り抜かれている」という印象です。日本料理は素晴らしい。魚を調理する包丁捌きを初めとして、季節のリズムをよく理解した食材の使い方など、あれほど高度で洗練された料理文化は他にはあまり無い。ただ、良くも悪くも、ずっと変わらずにそのままなんです。もちろんこの20年で日本料理も少しずつ変化してきたようですが、基軸は「守り抜かれる伝統」です。

フランス料理は動き続け、日本料理は留まり続ける。それが私の思う2つの素晴らしい料理文化の特徴です。

他に何か違いはありますか?

ギィ・マルタン氏:
もっと別の視点から考えると、国の関与の度合いが両者の大きな違いです。

フランスでは、「料理」という文化へ国が強く関与しています。国立の学校で料理を学ぶことができるというのが象徴的ではないでしょうか。日本には私立の料理学校がありますが、国立は無いんですよ。「料理」という文化への関与を国は行っていない。これは驚くべき事ではありませんか?

1900年代には、グラン・シェフと呼ばれる人々は自分の運転手や、建物、その他大きな財産を所有していました。グラン・シェフは国の役人と同等の存在だったのです。

かつてに比べて、今のフランスのグラン・シェフ(偉大なる料理人)たちはそこまでではない?

ギィ・マルタン氏:
一部はたしかにそうですよ(笑)でも、それは本当に一部です。しかし、「料理」というジャンルがフランス文化自体を特段に強く率いてた昔はそれが普通だったのです。

Le Grand Véfour

お問い合わせ
+33 (0)1 42 96 56 27
アクセス
17 rue de beaujolais 75001 PARIS FRANCE
営業時間
12:30-13:00
20:00-21:30
定休日
土曜日、日曜日