フランスの伝統的な食文化 「シャルキュトリ」の魅力を 世界に発信するアンバサダー

MAISON VEROT(メゾン ヴェロ)
Gilles Verot(ジル・ヴェロ)

Gilles Verot MAISON VEROT(メゾン ヴェロ)

■シャルキュトリの魅力を世界に発信する大使として…

舌の肥えたパリっ子を魅了し続けて今の成功があるのですね…。今はフランスを飛び出し、海外でも様々なご活躍をされているとお聞きました。

ジル・ヴェロ氏:
現在はニューヨーク、トロント、ボストン、ロンドンに僕のシャルキュトリを楽しんで頂ける店があります。どの店も僕の元で修業をし、技を継承したシャルキュティエが腕を振るっています。

ニューヨークで僕のシャルキュトリを提供することになったのは、ニューヨークで活躍するフランス料理界の巨匠ダニエル・ブリュー氏(※1)に声をかけてもらったことがきっかけ。
彼はリヨン出身のフレンチシェフなのですが、1980年からニューヨークを拠点にしており、現在ニューヨークで数軒のフランチレストランを手掛けています。

彼は以前からビストロ風のカジュアルなスタイルでワインを楽しめる店を作りたいという構想があり、2008年にオープンしたのが「バー・ブリュー(Bar Boulud)」。
ブリュー氏がこだわり抜いたワインに合うフレンチビストロ料理の他に、フランス料理には欠かせないシャルキュトリを目玉として出したいから協力してくれないか?とオファーを受けて、コラボレーションが実現することになりました。
ニューヨークには僕の元で5年間修業を積んだシェフが僕のレシピを忠実に再現してくれていますから、店内のシャルキトリーバーで僕のテリーヌやソーセージを楽しむことができますし、購入することも可能です。

ニューヨークでもシャルキュトリはまだあまり知られていませんから、シャルキュトリを楽しむスタイルをニューヨークで提案できて本当に嬉しいし、世界の人々にシャルキュトリの魅力を知ってもらう良い機会だと思っています。

※1:ダニエル・ブリュー
ニューヨークの三つ星シェフ。また、ニューヨークに複数のレストランを擁し、その他にもラスヴェガス、パーム・ビーチ、 カナダのヴァンクーヴァー、北京にもレストランをオープンしている最もサクセスフルなフレンチ・シェフの1人。

こうして世界にシャルキュトリの魅力がどんどん広がっているのですね。日本でも楠田シェフがシャルキュトリの魅力を伝えていますが、どんな出会いがあったのですか?

楠田氏:
僕はヨーロッパ修業中に、フランスのシャルキュトリで働きたいとずっと探していたのですが、本当にどこに行っても雇ってもらえなかった。フランスのシャルキュトリへ修業に入るということはとても門戸が狭いことだと誰もが口を揃えるくらいで…本当に教えてもらえなかった。
それでも何とかして本場フランスでシャルキュトリを学びたいと何度も渡仏する中で、ジル・ヴェロ氏の友人であるシェフのMr.Hugo Desnoyer(ユーゴ・デノワイエ)氏に出会う機会を得ました。そして彼に「フランスで一番のシャルキュトリは?」と尋ねたところ「もちろんジル・ヴェロが一番だ!」と。彼が妻のカトリーヌさんに電話をして、紹介してもらえたのです。そして修業をさせてほしいとお願いしたところ「来ていいよ」と言ってもらえたのです。

ジル・ヴェロ氏:
楠田はとてもやる気があって情熱的でしたね。修業したいと来た日本人は正直初めてでびっくりはしました(笑)、彼の感性や考え方に刺激を受ける部分も沢山ありました。
フランスのシャルキュトリは昔から外からの研修生を受け入れない業界なのですが、それは「伝統ある昔ながらのレシピを取られるのではないか?」という保守的な考えがあるからです。でも私は修業したい人を積極的に受け入れるようにしています。
こうして新しいことにチャレンジする気持ちが無かったら、シャルキュトリ全体の発展はないと思いますし、こうして日本に来ることができているのも楠田との出会いがあったからです。

MAISON VEROT(メゾン ヴェロ)

とても革新的な考えをお持ちなのですね。現在フランスのシャルキュトリの現状はどのようなものですか?

ジル・ヴェロ氏:
実はフランス全体では、昔ながらのシャルキュトリの店はどんどん少なくなってきていますし、シャルキュティエの目指す人も少なくなっています。
やはり昔ながらのスタイルで経営を続けて行くのは難しい。フランス人の中にはシャルキュティエはもう昔の古い職業で、これからは無くなっていくと考える人もいます。

しかし僕は逆で、これから世界に羽ばたく職業だ!という誇りと自信を持っていますし、そうなれるような努力をしたい。
僕が営むパリの店には、世界中からお客様がお越しくださいますし、日本人のお客様も沢山お見えになります。変化せず、同じことをずっと続けただけではやはり生き残っていけません。

ヴェロ氏は、教えることでレシピが盗まれるのでは?といったお考えはないのでしょうか?

ジル・ヴェロ氏:
過去に作ったレシピだけが僕のすべてではありません。作るものは、常に変化し続けていますし、この先もずっと進化し続けたいのです。
私はフランスの伝統的な文化を継承したシャルキュティエですが、教えることに国境はないし、今はフランスだけでなく世界にシャルキュトリの魅力を広めたい。もちろん伝統的なシャルキュトリも作っていますが、様々な土地を旅して、色々なものを見て、感じて、味わって…旅先で得たインスピレーションや素材を活かした新作も考案します。

去年は日本を旅した後に抹茶を使ったテリーヌを作りましたし、今年は日本でとても美しい桜を見ることができましたので、桜葉を使ったものを作りたいなと考えています。日々、感性は刺激され続けていますし、生み出すものは永遠に変化し続けます。

最後にこれからの夢などあればお聞かせください。

ジル・ヴェロ氏:
この仕事の魅力を語るだけでも1時間は必要なくらい(笑)…、私はこの仕事が本当に好きなので、今はシャルキュトリの魅力をフランスだけではなく、世界に広める大使のような、そんな役割も担っていければと思っています。日本でも私のシャルキュトリを食べてもらえる様な店をいずれはやってみたいですし、10年後の日本では「シャルキュトリ」がもう当たり前のように知られていて、食べられているといいなと思いますね。

(聞き手:市原孝志 文:池側恵子 写真:岡 タカシ)

<店舗情報>

PARIS 6
3 rue Notre-Dame des Champs, 75006 Paris
Tel : +33(0)1 45 48 83 32
Ouvert du mardi au samedi, de 8h30 à 20h.

PARIS 15
7 rue Lecourbe, 75015 Paris
Tel : +33(0)1 47 34 01 03
Ouvert du mardi au samedi, de 8h30 à 20h.

PARIS – GALERIE LAFAYETTE HAUSSMANN
40 boulevard Haussmann, 75009 Paris
Tel : +33(0)1 42 82 34 56
Ouvert du lundi au samedi, de 8h30 à 21h30.

MAISON VEROT(メゾン ヴェロ)

MAISON VEROT(メゾン ヴェロ)

MAISON VEROT(メゾン ヴェロ)

お問い合わせ
+33(0)1 45 48 83 32
アクセス
3 rue Notre-Dame des Champs, 75006 Paris
営業時間
8:30〜20:00
定休日
日、月曜日