自分を信じて一生懸命に働いた経験は、いずれあなた自身の血となり肉となる。

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エマ・ベングトソン (Emma Bengtsson)

■今も忘れられない祖母譲りの家庭料理

スウェーデン出身だそうですね。幼少のころのお話と、思い出に残っている家庭料理があれば教えてください。

ベングトソン氏:
私は、スウェーデンのファルケンベルグという、首都ストックホルムから電車で5時間ほどの場所にある小さな町で生まれ育ちました。田舎ののどかな地で幼いころはいつも外で遊び回っていました。馬に乗ったり、自転車で遊んだり…。今の子どものようにコンピュータや携帯電話、ビデオゲームがなくても不満はなかったです。たまに許してもらえる、30分だけのテレビアニメの時間が唯一の室内娯楽でした。自然の中でのびのび遊んで育って、恵まれた環境だったと思います。

母は当時専業主婦だったので、私は彼女の料理で育ちました。母が作る料理は主に祖母から受け継いだものです。祖母は私たちの家から車で数時間離れた所に住んでおり、週末や大型連休になると家族で遊びに行ったものです。祖母の作るおいしい料理やデザートが楽しみでした。

一番思い出に残っている家庭料理といえば、祖母から母に受け継がれた人参の料理です。料理名は特にないので、人参料理と呼びましょうか。地元でとれた新鮮な人参を塩水でゆでてローストし、たっぷりのバターと手作りの赤いカラント(乾ブドウ)ジェリーなども使用します。すごく柔らかいんですよ。あぁ、あのおいしさは今でも鮮明に思い出すことができます!

好き嫌いはない子どもだったのですか。

ベングトソン氏:
いえ、実は好き嫌いが激しい子でした。ですので赤の他人が作ったものを食べるのではなく、自分で好きなものを作ろうと思いました。今思えば、それが料理人になる最初のきっかけかもしれません。料理が上手だったかどうかはわかりませんが、料理が「好き」だったのは確かです。料理を始めたのは5歳のときです。

5歳で料理を始めるとは早熟ですね。何を作っていたのですか。

ベングトソン氏:
さすがに手の込んだ料理は作れません。ブラウニーとかクッキーとかパイとか、ナイフとフォーク不要の気軽に食べられる焼き菓子類です。

■ 何かをしたいのであれば自らの努力が必要

料理の世界で生きていこうと決めたのはいつですか。

ベングトソン氏:
ストックホルムにある料理学校(Stockholm Hotel and Restaurant School)に入学したのは、16歳のときです。もともと何かをクリエートすることが好きな性分で、料理もその「何か」の一つでした。自分が作った料理で、それを食べた誰かに幸せを与えられる仕事に魅力を感じ、プロのシェフになろうと決めました。

学校では飲食業界に関するすべてのことを学びました。ペーストリー(パンや菓子類)からセイバリー(※1)、ホテルのフロント業務やマネージメント、バーテンダーとしての知識など、3年間みっちりとね。

※1:セイバリー(Savory)
塩気やスパイシーな味の料理を指し、菓子類と対比させて使う言葉。

レストランで働き始めたのは何歳ですか。

ベングトソン氏:
入学して1年経った17歳のときに、6ヵ月のインターンシップを始めました。スウェーデンで唯一、二つ星をとったイズバッカ(Edsbacka)という、首都ストックホルム北部のソレンツナ郡にあるレストランで働きました。そこでの経験が認められ、卒業と同時にこの店で就職も決まり、料理人としてのキャリアをスタートしました。結局その店では、5年間働きました。

その後、ストックホルム市内でもっとも歴史のあるビストロの一つ、プリンセン(Prinsen)というレストランで2年間働いた後、同じく市内で、Royal Swedish Opera (歴史的なオペラハウス)の中にあるオペラシェラレン(Operakällaren)という、ミシュラン星を獲得したレストランで5年間働きました。

着々と就職や転職をしていますが、スウェーデンで料理人として仕事を得るのは難しくなかったですか。

ベングトソン氏:
ストックホルムのレストラン業界は小さいので、みんな顔見知りのようなものなんです。だから、例えば「もうすぐ辞めようかと思っている」と誰かに相談すれば、すぐに「だったらうちで働かない?」と声がかかってきます。そうやって、これらの人気レストランで次々に仕事が見つかりました。

当時学んだことや、今でも心に残っていることはありますか。

ベングトソン氏:
最初に働いたイズバッカの料理長は、当時の私のメンターであり、今では良き友人です。彼がいつも私に言ってくれていたことがあります。それは「仕事でまだその準備ができていないのなら、誰からもその仕事の依頼はこないだろう」ということと、「何かをしたいと心から思うのであれば、それを実行するために努力が必要である」ということでした。今でも大切にしている言葉です。

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