料理をモダンに表現すること、モダンな世界の流れの中に新しい料理を打ち出していくこと

Restaurant Le Cinq
クリスチャン・ル=スケー(Christian Le Squer)

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■三つ星のシェフというものは食のトレンドそのものを作り出している人のこと

2016年シェフ大賞(雑誌『Le Chef』Le Meilleur Chef 2016)に選ばれましたね。

ル=スケー氏:
ありがたいことですね。「ルドワイヤン(Ledoyen)」ではプレスもいなかったし、私も積極的には情報発信していなかったのですが、「フォーシーズンズ・ジョルジュ=サンク」に来て、とてもメディア露出が増えました。

シェフというのは成長を続けるものですし、料理も進化を続けるものですが、特に私はこれまでパラス(フランスのホテル格付け最高位の称号。2016年現在パリで8軒のみ認定を受けている)になかったものをもたらしたと自負しています。アーティザナル(Artisanale、職人が作る繊細な仕事)なものを持ってきたのです。一般的なパラスのように高級食材にこだわるのではなく、身近な食材を用いたアーティザナルな料理をしています。

全ての皿にクリスチャン・ル=スケーとサインがされている、それくらい特別なものを作っています。お客さんは私の料理のスタイルがとても気に入っているようです。

パラスで料理を作るにあたって気にしていることはありますか。

ル=スケー氏:
全ての皿において、味が素晴らしく、感動する料理であること。私は現代的なスタイルや、昔とは違った食事のとりかたを提案しています。三つ星のシェフというものは食のトレンドそのものを作り出している人のことです。つまり、シェフ自身がトレンドだということです。何が暮らしの中で大切にされ、幸せとされているかを打ち出している人です。

ソースを使ったクラシックな、パリの料理を土台にしているのは当然のことですが、今ならではの食べ方を打ち出しているのです。こんにち大切にされているものは何かについてはとても気にしています。このメゾンに来る人は、時代の先をいくシェフによるシニアチュールのついた特別な料理を求めて来るお客さんです。つまり、お客さんは時代の空気に合った料理を求めています。

次々と新しい料理をフェイスブックなどに載せることで頻繁に料理人の話題になっているようですね。

ル=スケー氏:
そうですね。21万人が私のSNSをフォローしています。ツイッターも、フェイスブックもインスタグラムも、SNSの世界で私は広く活動しています。私たちは常に将来を見据えた活動をしているのです。クチュール(服飾)の世界と同じで、お客さんは目新しさを求めています。

私はクチュールにしても、香水にしても、新しく出たものについて、どのようなものをどのように仕上げているかトレンドを常に追っています。モードも、アートも、ストリートで起きていることについても私は常にアンテナを張っています。

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■店とともに、愉しみながら成長。

経歴を簡単に教えてください。

ル=スケー氏:
1962年プルイネック(Plouhinec)で生まれました。最初船乗りに憧れたものの、船の上で出会った料理の道を選び、14才で働き出しました。パリに来てからは、「ル・ディヴレック(Le Divellec)」、「ルカ・カルトン(Lucas Carton)」、「タイユヴァン(Taillevent)」(Taillevent)、「リッツ(Le Ritz)」で働いたのち、インターコンチネンタル・グランドホテルの「カフェ・ド・ラ・ペ(Café de la Paix」)でシェフになり、翌年に一つ星、その翌年に二つ星を獲りました。1999年に39才で「ルドワイヤン」に来て、今に至ります。

「ルドワイヤン」はどのようにしてスタートしたのですか。

ル=スケー氏:
「ルドワイヤン」の建物はパリ市の持ち物なので、借家人として15年の契約にサインしてスタートさせました。私はチームを引き連れ、株主とともに「ルドワイヤン」を借りました。前の借り主には星はなかったのですが、私たちは2002年に三つ星を獲り、そのまま12年間維持し、15年の契約が終わったのでヤニック・アレノに建物を使う権利を売りました。三つ星は「ルドワイヤン」にとっては初めてのことでした。

「ルドワイヤン」というとても有名な施設を使う権利を買い、自分の店を開くとき、ある程度成功する自信があったのですか。

ル=スケー氏:
そんなことはないのですが、「ルドワイヤン」が私を育ててくれました。自分も大人に成長したし、料理長としても開花したと思っています。グループの株主、キッチンのリーダーとしても成長しました。周りの人も私のことを守ってくれたり、育ててくれたり、ビジネスマンとしても料理長としても私は大成しこの人たちとの関わりの中で、私は公私ともに豊かになっていきました。それに、「ルドワイヤン」での仕事自体も愉しかったですしね。

「フォーシーズンズ」に移ってきた時のことを教えてください。

ル=スケー氏:
「フォーシーズンズ」はパリのパラスの中でも最も美しい場所の1つです。なので、良いものを持ち込んで全て変えていく必要がありました。私たちがモダンさをどんどん持ち込んだので、経営陣は面食らっていました。ディレクターは「フォーシーズンズでブダン(boudin、豚の血と脂の腸詰め)は出せないよ」と言いました。けれど、結局私のブダン料理に一目惚れしました。ここではブダンまで出しているんです。サーディン(小魚)も出しますし、身近な食材も使っています。この仕事のしかたを皆にわかってもらう必要がありました。「フォーシーズンズ」にとっては驚くべきことばかりだったのです。皆にとっての常識を覆しました。私自身の色を思う存分出しましたからね。私は最低限のことだけしてゆっくりすることもできたのですが。有名ホテルに雇われたんだし、どんな料理を出していても「いいんじゃない」と流して、最低限の時間だけ出勤することもできました。私の契約上は週4日だけとなっています。5日目は家で休むこともできたはずですが、私は週6日働きました。

Restaurant Le Cinq

お問い合わせ
+33 1 49 52 71 54
アクセス
31 Avenue George V, 75008 Paris France
Four Seasons George V Hotel Paris
George V駅(メトロ1番線)
営業時間
12:30-14:30、19:00-22:00
定休日
なし