カウンターに立って生まれた覚悟。お客さまに喜んで頂く為に料理を作る

三科 惇

蓮 三科惇

■仲間と一緒にやれば、ひとりではできないこともできる

「蓮」のスタッフの採用は三科さんが担当されているのですか?

「石かわ」「虎白」「蓮」の間で異動もあるので、3店の担当者がみんなで面接をします。複数の視点で判断した方が、面接での印象と実際に働きぶりのズレも起きにくいように思います。

ズバリ、三科さんの採用基準は?

一番の判断基準は「素直さ」ですね。自我が強過ぎると人から教わるのも難しいですし、料理をお客さまにお出しする時も「自分」が先に立ってしまうんです。そうではなく、素直に料理を作ることを楽しんでいたり、「お客さまにこの料理を出して喜んでいただけるかな」と考えられると、料理のクオリティも違ってきます。

3店とも長く続けているスタッフが多く、三科さんご自身も10年以上石川さんと一緒に働いていますよね。独立を考えたことはないのですか?

おやっさんが「これまでにない日本料理の形を作りたい」といろいろなことを考えて、スタッフにも挑戦する機会を与えてくれるので、僕の場合は、独立を考える余地がありませんでした。ひとりでお店をやるのも素晴らしいことですが、仲間と一緒にやれば、ひとりではできないこともできます。

それに、おやっさんの存在はやはり大きいですね。心からみんなのことを愛していて、それがものすごく伝わってくる。厨房ではものすごく厳しいのですが、翌日には決して持ち越さないので、みんなから愛されています。おやっさんや小泉さんと一緒に働き続けたいという気持ちが僕には強いですね。

石川さんに取材をさせていただいた際に、スタッフが辞めると「申し訳ないことをした」と男泣きするとうかがいました。

情がとにかく深いんです。スタッフの仕事にも、向き、不向きがありますし、厨房の厳しい雰囲気になじめないという相談を若いスタッフから受けることもあります。そんな時は僕自身の経験を話すんです。「もともとは体育会系のノリに抵抗があったし、修業を始めたころは叱られてばかりで、いつも逃げることを考えていたよ。でも、続けることで見えてくるものがある」って。そうすると「三科さんもそんな時期があったんですね」と少しほっとしてくれるようです。

蓮 三科惇

■外国の家庭の食卓に味噌汁がのぼる時代が来たら、素敵だなあと思う

最後に、今後の夢をお聞かせいただけますか?

そうですね。近い目標としては、「蓮」のお客さま一人ひとりに喜んでいただくこと。そのために何ができるかということをいつも考えています。一方で、大きな夢として、日本料理の文化を国境や時代を超えて伝えていきたいという思いはあります。日本人はさまざまな国の料理を取り入れていて、食卓に西洋料理や中華料理が並んだりするのもいまや珍しくない光景ですよね。同様に外国の食卓に味噌汁やおにぎりがのぼる時代が来たら、素敵だなあと思うんです。

草の根から日本料理のおいしさを知ってもらい、根付かせていきたい、ということでしょうか。

そうですね。ミシュランの星の影響もあって、最近は海外からのお客さまも多いので、その方たちにまず喜んでもらうことが大事だと思っています。日本料理について少しでも深くお伝えできるよう、英語の勉強も始めました。

海外からのお客さまの反応から、何かを発見されることもあるのでは?

僕たちにとっては当たり前のことも海外からのお客さまは新鮮に受け止めていらして、例えば、きゅうりの漬物の蛇腹切りひとつでも、包丁の技に感動してくれたりする。日本料理の魅力に改めて気づかされます。毎日店のカウンターに立ち、ていねいに仕事に向き合うことで、その魅力を広く伝えていけたら幸せですね。

(聞き手:齋藤 理、文:泉 彩子、写真:刑部友康)

蓮

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