2019.02.04

毛ガニのパエリア|スペイン料理 アカ|Foodionテクニック動画まとめ

毛ガニのパエリア

Vol.1:仕込み

Q,パエリアの食材はどのようなものが適しているのでしょうか?
A.東氏:
僕が選んでるのは、香りのするもの、脂が乗っているもの、身の質、大きさ、日本人が好きかどうかを考慮しています。甲殻類はパエリアに合うので、通年使っています。
時期によって、松葉ガニ、コッペガニ、毛ガニ、ワタリガニなどを使いますね。

パエリアは年間で12〜13種類くらい作っています。うなぎとか、ノドグロとか、アナゴとか、サンマのパエリアなんかもあります。

青魚のパエリアのヒントになったのが、スペインでイワシとイカのパエリアを食べたこと。それが凄くシンプルで美味しかったんです。こんなパエリアもアリなのか、と思いました。
それまではイカ、エビ、アサリ、ムール貝などが入った普通のパエリアを作っていました。

あとはウサギ肉と鶏肉のパエリアはスペインでは定番ですね。

そういう定番のパエリアではなく、日本の食材にフォーカスを当てたものを作ることにしました。そうした方が料理の幅が広がるかなと。
またムール貝やエビなどのパエリアを作る際、火を全体に入れるので、食べる時に具材の水分がなくなり、素材本来の味がしなくなってしまいます。それも使う具材を変えた理由ですね。

一方で、スペインで食べたイワシとイカのパエリアは、こんなに味が伝わるパエリアってあるのか、と驚きました。イカの香ばしさと、イワシの独特の味が出て、お米にしっかりと味が伝わってとても美味しかった。

それから、魚の味がしっかりのっているパエリアを作るようになりました。

Q.パエリアはaca 1°のスペシャリテですよね?

A.東氏:
そうですね、パエリアは必ず最後にお出しします。

Q.すごく元気な毛ガニですね。

A.東氏:
この毛ガニは、北海道の噴火湾(内浦湾の別称)のものです。
魅力のある食材を前にするとドキドキしますね。でも実は僕、動いてる魚を触るのは苦手なんですけど(笑)

コレはまだ小さい方です。大きいものだと1kgを超えてきます。でも、大きいと見た目は豪華ですが大味になってしまいます。

Q.カニを冷やすのはなぜなのでしょうか?

A.東氏:
もともと冷たい所に住んでいるので。冷たい所に住んでいるものは冷たくしてあげた方がいいんじゃないかな、という食材への優しさです(笑)。でも、冗談というわけでもなく、やはり食材にストレスは与えない方が良いのではないかなと思っていまして。

そういう部分も含めて、全てのやり方に正解が確立されているわけではないです。こうした方がいいかな?など考えながらやっていて、それが当たるか外れるかは結果を見て判断すればいいというスタンスで料理をしています。

Q.スープの解説をお願いしていいでしょうか

A.東氏:
これは毛ガニのパエリアのベースになるスープです。まず身を綺麗にほぐして、その時出てくるガラを野菜のブイヨンで炊きます。

野菜のブイヨンは、人参、玉ねぎ、セロリ、ハーブ系(イタリアンパセリなど)を入れて作ったものです。この中に、パエリアの核となるサフランを入れます。これで10人前ぐらい。

これをガンガンに炊いていきます。水も加えて、水分が減っていくくらいに炊く。水がボコボコ沸騰するくらいガンガンに炊くことで、カニの風味が出やすいんじゃないかと思っています。

カニの場合はガンガンに炊きますが、魚の場合はそうではないです。沸騰したらすぐ火を消したり、ものによっては沸騰させなかったり。

ベースとなるものなので、これが美味しくないとパエリアは美味しくなりません。

うちのパエリアのテーマの1つは、「メインの食材を捨てることなく使い切る」ということです。魚の場合は、頭も骨もスープとして使います。そうすることで、旨味、香りが凝縮されます。

Q.ほとんど調味料を使っていないですね

A.東氏:
入れてないです。カニから塩分も出ますし。あんまり過度な塩分は入れない方が良いと考えています。

aca1°の料理では、味付けとして塩を使用するのではなく、例えば生ハムやチョリソーを通して塩分を加えるという調味を行うことが多いです。塩を使用するのは最後に水分を飛ばす時ですね。

水気の多い魚などは水分を飛ばすことで身もしっかりするし風味も旨味も出てきます。ウニもそうしてますね。


……
東氏:

この状態で20分くらい炊いていきます。
もう少し炊いていくと白ワインの味が丸くなってきます。
甲殻類とサフランの相性はすごくいいのです。
パエリアは作る時に水分が飛ぶので、スープの段階ではちょっと薄いかな?と感じるくらいが丁度いい味になります。

Q.食材によって調整されたりはされるのでしょうか

A.東氏:
カニも個体によって塩分が多いとか風味が無いとか、ものによって全然違うんです。甘みが無いもの、香りが無いもの、塩分が全然無いものもあります。

塩分はスープで調整できますが、香り、身質はチェックしておかないとその日のスープの状態をどこに持っていくかが決められません。「今日のカニは風味が弱いし、スープで風味を出そう」といった感じで考えて調整しています。

 

Vol.2:パエリア作り

Q.パエリアの作業工程を教えてください

A.東氏:
このパエリア鍋を使います。「パエリア」の由来はこの鍋を使うからです。
イカと帆立と玉ねぎのペーストを炒め、トマトソース、スープ、お米を入れて、オーブンに13分入れて残っている水分を飛ばします。
ヤリイカと帆立はしっかり炒めます。ここでしっかり目に焼き色をつけます。焼きが甘いと、香りや味に深みが出ません。

本当に美味しいパエリアは黄色ではなくて、こげ茶っぽい色をしているんです。具材を焦げる直前まで炒めることで、その色が出てきます。

Q.そういったことはどうやって知るものなのでしょうか?

A.東氏:
試行錯誤をしながら数をこなすしか無いですよね。誰が作ってもある程度のものは作れるのですが、それ以上のものは、経験です。焼き加減など、調理する上での自分にとってのベストなタイミングを見つける必要があります。


……
東氏:

さて、次に玉ねぎをゆっくりソテーしたものを合わせて炒めていきます。焦げる直前までいったら、トマトを入れます。

具材と軽い焦げとトマトを絡めて、トマトソースを作るイメージですね。
ここでスープのベースが完成します。ここですぐにスープを入れたら駄目。しっかりトマトの水分を飛ばします。


……
東氏:

さきほどのスープを入れます。そして、沸騰するまで待ちます。ずっと強火ですね。
イカとか帆立を炒めるのに時間がかかり過ぎると、イカと帆立の水分が完全に飛んでしまうので良くないです。お米を入れて、しっかり沸騰させたらオーブンに入れます。

 

Vol.3:盛り付け

東氏:

水分を一気に飛ばして、おこげを少し作ります。
おこげがついているかどうかをチェックします。ここで箸がすーっと動いたらおこげがついていません。グッとアタリがあれば、おこげがついています。

これで完成です。ここから2分蒸らします。


……
Q.最後にお皿に乗せたソースについてお聞かせ頂けますでしょうか?

A.東氏:
アリオリソースという、マヨネーズのようなもので、にんにくを利かせたソースです。スペインではパエリアに添えることがあります。

aca 1°では、自家製のアリオリソースに、山椒の実を潰して入れています。

Q.盛り付けのこだわりなどはありますでしょうか

A.東氏:
普通は鍋のままお客さんに出しますが、スペインではサービスマンやシェフが取り分けてくれるんです。

シェフが自分の作ったものを取り分けるというのは、最後まで責任をもってやるという感じがして、筋が通っていて良いな、と僕は思っています。

大きい店でやるのは難しいかもしれないですが、うちくらいの店だと、お客さんに楽しんでもらうためにもそのようにしています。

 

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